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映画『ゴジラ-0.1』夢の中で見たゴジラの正体

あらすじ

戦争により、先進国から「無」の状況に陥ってしまった日本。だがそこへゴジラが現れ、日本を「無」から「マイナス」の状況へとさらに落とし込んでいく。

監督:山崎貴
キャスト:神木隆之介、浜辺美波


今年最大の楽しみである『ゴジラ-0.1』が昨夜僕の夢の中で先行公開された。

ここ最近『帝都物語』や『福田村事件』に興味を持った事で、頭の中が戦前、戦中、戦後の日本をずっと行き来している。

『帝都物語・大東亜篇』では関東大震災のどさくさに紛れて大杉栄を殺害した甘粕正彦大尉が満州で映画を撮っていた。

その映画のタイトルは『地底の鬼』。

満州の地下鉄工事の際に現れた実際の鬼を起用して、甘粕はこの映画で日本が満州に作ってしまった闇を表現しようとした。

本土日本はその頃、度重なる大空襲で敗色に染まり、一億総玉砕の無謀な策を決意して最終戦に望もうとしていた。

僕の夢の中では甘粕が満州で撮ろうとした『地底の鬼』のテーマを『ゴジラ-0.1』が引き継ぐ形になっていた。

夢の中の話なのでネタバレにはならないと思うけど、僕が観た『ゴジラ-0.1』に登場するゴジラの正体は天津神に国を譲った大国主という設定になっている。

天津神の子孫である天皇陛下がポツダム宣言を受諾し、敗戦した日本がアメリカの統治下に入る。

大戦を機に新たな国譲り神話がこの日本に誕生し、その事に怒りを感じた国津神の大国主が荒御魂(ゴジラ)となって戦後の日本に現れるのだ。

「異国の者なぞにこの神国日本を譲るというのならば、我ら国津神がこの国を滅ぼし、新たな国を創って見せようぞ」

夢の中のゴジラから感じたのはそんなメッセージだった。

しかし敗戦した日本と天皇家には大国主の荒御霊を鎮める力はなく、異国の兵器(原爆)による神殺しを渋々了承する形で、無から負になった日本を救う結末を迎える。

ゴジラ討伐の名目があるとはいえ、アメリカの統治下にある東京に原爆を落とすわけにはいかない。

そこでマッカサー率いる進駐軍は人柱を用意して、ゴジラを海上に誘きだす作戦に出る。

その任務につくのは英霊に成れずに帰還した日本兵たち。

彼らは進駐軍が実行しようとしている作戦の意図を知らないまま船を出し、荒ぶる神ゴジラを挑発しながら沖へと進んでいく。

天皇という現人神を利用して大戦に望んだ日本が今度はアメリカに利用され、『シン・ゴジラ』では選らばなかった核攻撃の選択肢を皮肉にも選んでしまう。

その姿が切なく、痛々しい。

そして東京湾の遥か海上に位置する地点で原爆が投下され、人柱の日本兵たちと一緒に荒ぶる神ゴジラが調伏される。

科学の力を使った神殺し。

この結末を迎えた事により、日本は天津神の威厳も国津神も威厳も失い、ただアメリカの属国としてやり過ごす、アイデンティティのない哀れで惨めな民族の路線を歩む事になった。

そのおかげで僕は愛国心も何もなく、平和ボケしながらこの記事を書く事ができるわけだけど、11.3に現実で公開される『ゴジラ-0.1』には夢とは違う展開を期待している。