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【ネタバリあり感想】すずめの戸締り、みてきました。

今更ですが、「すずめの戸締り」みてきました。前情報は一切ない状態でした。(テレビをみないので情報が入ってこないのです)

正直、めちゃくちゃ泣きました。

退廃美や過疎地の生活、旅情の物語かと思いましたが、

震災の話だったんですね。冒頭の幼いすずめが彷徨うシーンは異次元だと思ってました。陸上に船の残骸、家屋の残骸。現実に在った姿なんですね。

忘れかけていた記憶を呼び起こされるようでした。

すずめが常世の世界を行き来出来たのは4歳という年齢所以でしょうか。まだ死に近く、とはいえ自我が目覚める年頃。生と死の境目。

幼いすずめが開いた扉の先は未来の世界。成長したすずめと広がる緑の大地。SF的なロジックはとてもシンプルですが、先の非現実的な現実と相まって、終盤まで上手にベールに包まれていました。常世が「時間関係なく交わる場所」的に説明されていたのも効いています。

今回、「天気の子」や「君の名は。」と比べると、主人公から神がかり的なチカラは取り除かれていたように思います。代わりに物語を牽引する神秘性はソウタに寄せていました。

すずめは震災を経験した子どもたちのひとりなんですね。物語に生きる少女ではなく、現実に生きる少女。「すずめの戸締り」というフィクションの中ですずめの置かれた環境や叔母との関係性や会話はノンフィクション。

自然災害という不条理に対して、それでも人は強く生きていく。戸締りという言葉には、精算や決別という意味もあるのでしょうね。

新海誠作品に浸かっていればこそ、そのコンテキストさえも逆手に取った作品であるだったと思います。見れてよかった。

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