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来る 2018年東宝

2018年製作のJホラーです。

まだ未見の人は、どうか読まれませんように。
完全ネタバレです。

監督は、中島哲也。
「嫌われ松子の一生」「告白」を作った人です。
役所広司主演で「乾き。」というのもありますが、これは未見。
でも、気になっていた作品です。
こうして並べてみると、どれもヒトクセもフタクセもありそうな作品ばかり。
この監督は、CMを主戦場にしていた人のようで、インパクトのある映像センスはなかなかのもの。
こういう監督は、基本的にホラー向きなのですが、本格的ホラーとしては意外にも本作が初めて。
一応原作はあるようですが、かなりのホラーを見ている僕でも、本作のストーリーの展開がまるで読めませんでした。
ホラーを見るときのマイルールとして、いつも通り、前知識なしで見始めたのですが、映画の最初にクレジットがあったようなないような。
これが、いきなりちょっと気になったのですが、見ていくうちにその理由がわかりました。
とにかく、見終わってみれば、妻夫木聡、黒木華、松たか子、小松菜奈、岡田准一といった、錚々たる面々がキャスティングされていたわけですが、最初から顔と役が一致したのは黒木華だけ。
あとは、しばらく見ていないと、それが誰だか正直分かりませんでした。
特に松たか子などは、あまりに本人とかけ離れたイメージで、わかってからビックリしたほど。
そんなふうに仕掛けられたキャスティングですが、最初は主人公だと思っていた妻夫木、黒木夫婦が「映画の途中で「あれ」に殺されてしまうのにビックリ。
そして、その後を、岡田、小松カップルが繋いで、最後に真打松たか子の登場という展開です。
そうやって映画の目線たる主人公を途中交代することで、ストーリーをひっくり返してくるので、こちらは映画の進行が予測不能になってしまうわけです。
スリラー映画の系譜の中で、主人公と思われていた人物を映画の半ばで殺してしまうというサプライズを最初に仕掛けたのは、僕の記憶にある限り、アルフレッド・ヒッチコック監督の「サイコ」が最古。
それがあったからこそあのシャワー室シーンのショッキングさはより増大されたのは言うまでもありません。
その意味では、妻夫木、黒木という主役級俳優の途中退場は、「えっ、じゃあどうなるの」というコチラの関心を引っ張るには十分。
この監督が、タダモノではないことは、このストーリー展開で十分にわかります。
ホラー映画は、昔から新人監督の登竜門です。
でも、こんな俳優の使い方は、ポッと出の新人監督ではちょっと無理。
監督にある程度のパワーと、過去作品を通じての信頼が役者たちなければ無理でしょう。
演出力も確かなものですが、それとは別に監督力みたいなものも感じます。
本作で、「あれ」は、最後まで「あれ」のままで終わってしまいますが、監督はホラー映画に下手な説明は不要でしょと言わんばかり。
全ては、映像で語りますよというところでしょうか。

そうそう。
登場した瞬間に誰だかはっきりわかる怪演をしてくれた女優がもう1人いました。
柴田理恵です。
彼女の役は、ちょっと美味しかったかも。

見終わってみれば、荒唐無稽とも言えなくもない作品でしたが、これは監督に映像のセンスがあればなんとかなるもんだと思った次第。

果たしてこの監督、次は何が「来る」。

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