輪切りの私

 お恥ずかしいことに、スケートリンクですっ転びました。
フィギュアスケーターとの接触を避けるための事故的なことだったのか、ただ単に足がもつれてすっ転んだ自爆なのかはわかりません。
その後にやって来た頭部への衝撃による脳震盪で記憶が全くないのです。
これはいつか別に書いてはみたいのですが、フィギュアスケーターたちには言っておきたいのですが...マナー悪いよね。
今日のところはここまでにしておきます(苦笑)

気が付けば、リンクの外に運び出されて、ストレッチャーに乗せられてました。
この間の意識は全くなくて、気絶してました。
だから、リンクで何が起きてたのかなんてさっぱりわかりません。
わかっているのはリンクのスタッフと救急隊の方々に迷惑かけちゃったなぁということだけです。
救急車で運ばれて、到着して、頭がズキズキして、事態はようやく把握できるようになりました。
ご丁寧なことに靴を履き替えさせてくれてて、自分の持ってきてた備品等も持たせてくれてました。
処置室とかで応急処置をしてもらい、脳神経外科へ。
『パックリいっちゃってるねぇ...』ってことで、縫合手術かと思いきや...
『ステイプラーで止めます』と。
要はホッチキスで止めますというのです。
そして何やらの薬を塗って、その上をガーゼでかぶせて終了。
『血が止まってたら頭を洗っても大丈夫ですよ』と軽く言うのです。
『そんなに簡単に...』
『外傷はその程度だってのもありますけど、最近の医学はね...』ということらしい。
針で縫い合わせるものかとばかり思ってました。

『心配なのは中身です』ということらしい。
頭がパックリいっちゃうほどの衝撃だったので、脳に障害がないかと。
そこでCTスキャン登場。
その後に診断で『今のところは異常がなさそうですねぇ...』で一安心。
脳震盪で落着。
『細かいところまで診ておきたいので後日MRI診断しましょう』ということでその日はお開き。
ちょくちょく通いながらの治療となります。

その後に車で家まで帰ったのですが、よくぞ帰れたなと。
振り返るとゾッとします。
その後に3日ほど眩暈で悩まされるのです。
その時はパックリいった痛みでそれどころじゃなかったんでしょうし、痛みが意識と平衡感覚をシャキッとさせてたのかと。
たぶん...医学的な根拠は全くありませんけど。
その間は運転することもなかったので、何事もなくて家で寝てました。
眩暈も不思議なことに、3日目と4日目とではエライ違いなのです。
嘘みたいにピタッと急に治まる。
治まったので運転はどうかと訊けば、『ほどほどにね』ということで再開。
最後の最後の確認として、傷口が完全に塞がって、症状も治まったであろう時期を見越してのMRI検査となります。
その間は、不思議なことに音感がいつもと変わってました。
カーステから流れる音楽を聴くと、音が高く聞こえます。
2音ほど。
ドレミファソラシドのドからのスタートだとしたら、ミファソラシドレミに変わってて、低音はほぼ聞こえにくくなるという現象です。
この時点では完全には治ってないんでしょう。

それから3週間後にMRI検査。
検査技師の説明を受けて、検査着に着替えて、台の上に寝ます。
ヘッドホンを着けて、頭を固定されて、いざ検査。
俎板の上の鯉です。
ヘッドホンを着けるのは何故かと思ってたのですが、頭を動かさないことが良い画像を撮るための必須条件というのもありますが、うるさいからでもあるんだなと察しがつきました。
ホント、やかましかった。
『寝ないでね』とは言われたのですけど、あまりにも退屈だったので、半落ちしてました(苦笑)
その日はそれで終了して、翌日に医師の診断を仰ぐことに。

翌日、診察室に入って開口一番に医師が一言。
『大丈夫そうだねぇ...』と輪切りの我が頭脳の画像を見ながら説明してくれます。
とりあえず、すっからかんの空洞ではなかったです。
それなりに詰まってはいますが、使い道をわからずに今日まで生きてきているってことだけはわかりました。
ホッと一安心かと思いきや...
『あ...脳梗塞の跡があるねぇ...』
『えっ...?!?!?! 何ですと????』
『普段の生活に影響ないから心配要らないよ』
『そんな...聞き捨てならんことをアッサリと...』
こういう時の医師は残酷な物言いをしているようですが、それはそのまま受け取っても良さそうな気がします。
本当に大変ならアッサリとは言ってくれないものです。
家庭の医学じゃないけど、考えられそうな要因を突き出してみます。
『血圧ですか?』
『高い方? それかもねぇ...』
実際に、高すぎるとまでは行かないまでも高血圧の薬は飲んでて、そういうのが出てたんだろうと思われます。
『こりゃ、何とかせねば...』
医師が言う前に察しがついてしまったので、打つ手はいくつか浮かんでは消える。
『今すぐに何かしなければならないことはないんだけど...定期的に診てみましょう』となります。
ただし、それは本当に何もしなくて良いはずがないのです。
医者の具体的に投薬とか手術とかどうこうしようとかの領域ではなくて、患者のあなたがここへ来る前にすべきことをして下さいねという、『忖度』を求められているのです。
『そういうことですので...とりあえず、今回の件についてはこれにて一件落着ということで治療は終わります。今後は定期的に1年に1回くらいのおペースで診て行きましょう』となって診察室を出ました。
常日頃から、『俺の体は俺がよく知っているというのは嘘だ』と思ってますし、思ってました。
こういう機会がなければわからなかったことがあるのですから。
もう若くはない現実をしっかりと受け止めて、前に進まねばと。
『恋も出来ないで死ねる訳ない』のです(苦笑)

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