なぜ君たちは与党になれないのか-立憲民主党代表選-

1:衆議院選挙で敗北

10月末の衆議院選挙は自民が勝ち、立憲民主党が負けるという結果に終わりました。結果枝野代表と福山幹事長が引責辞任になりました。

(福山幹事長は結果が出た時点で、引責辞任を考えていたみたいですが、枝野氏については、朝日新聞が社説でぶっこんで来て初めて、引責辞任を覚悟するという非常に情けのない「詰腹の切らされ方をした」ということは記憶にとどめといてよいでしょう。)

ということで代表選がスタートしたのですが、これが自民党総裁選に比べて全然盛り上がっていません。なぜこんなに盛り上がらないのか。少し検証してみたいと思います。

2:現代の日本にリベラル・革新派のパイは少ない

NHKの2021年11月27日時点での世論調査、政党支持率編です。

政党支持率(%)
政党名
自民党 39.5
立憲民主党 8.2
公明党 4.0
日本維新の会 7.3
国民民主党 1.2
共産党 2.1
れいわ新選組 0.6
社民党 0.2
NHKと裁判してる党
弁護士法72条違反で 0.2
その他の政治団体 0.5
特に支持している政党はない 28.6
わからない、無回答 7.8

そもそもからして、日本の有権者の中にリベラルから極左までの左層は現在のところ全体の10%程度にとどまります。そのような勢力が与党に勝とうと思えば、無党派を取り込み、なんなら自民党支持層でも真ん中寄りの人を取り込もうとするべきですが、

今回の衆議院選挙は無党派からの支持を逆に失い、比例で議席を落とし、敗北を喫したことが明らかです。

上記のページで小泉内閣の頃からの政党支持率を見れば明らかですが、民主党政権が倒れてからというもの、左向けの政党は死に体で10%代の支持率を低空飛行しています。はっきり言ってしまうと、「日本の有権者は左翼政党に政権を委ねるつもりがない」ということです。なぜそうなるのでしょうか?

3:有権者はイデオロギーより「目の前の生活」

政府に優先して取り組んでほしい政策は、最多が「年金・医療・介護」69.7%で、「景気・雇用」61.4%、「環境・エネルギー」「子育て支援・教育」がともに44.2%、「新型コロナ対策」41.1%と続いた。「憲法改正」は12.5%。

上記のデータが示すように、日本国民の最大の関心事は、高齢化社会と景気対策です。

日本学術会議でもウィシュマさんでもモリカケでもありません。そんな左巻きのイデオロギー闘争は目の前の生活に直結することに比べたら関心事ではないし、そのような政策を訴えてもこの国の有権者の大多数は「は?」としか思わないのです。この時点で相当不利な状況に自らを置いています。

民主党政権以降、口だけのリベラル政党にはかなりの警戒感・不信感が有権者にあります。それより生活の不安・将来の不安を少しでも取り除いて欲しいのが有権者のマスの意見です。そのような流れのなかで具体的かつ実現可能な政策よりも誰得なより左巻きのイデオロギー闘争をしようとする共産党と悪魔合体すれば、それは選挙で支持を得られないのも当然です。「そんなんで飯が食えるか!」と思われて、「結局日本の左はダメだな」という烙印を押されていることになぜ気づかないのか。そしてそれはアンチ自民票がリベラル勢力に流れず、「もう一つの保守」である維新に流れ着いた結果が証明しています。

つまりは共産党と合体を続ける限りにおいて、生活・将来の提案よりはイデオロギーが大事なんだね的な色がつくことから逃れられないし、逃れられなければ、有権者から支持を得られることがないのです。

4:「共産党切り」を言えない候補者たち

この事実を今回の立憲民主党の代表候補4人はないがしろにしています。

立憲の獲得議席は小選挙区57、比例区39の計96で、公示前の109から13減らした。共産、国民民主、れいわ新選組、社民各党と候補者を一本化した小選挙区では9増やしたが、与党候補に競り負けたところが多かった。共闘の効果は限定的で、地力不足も明らかだ。
 深刻なのは、政党名で投票してもらう比例区の22議席減だ。朝日新聞社などの出口調査では、無党派層の比例区投票先で、立憲は前回衆院選から8ポイント減の21%と、自民党の19%をわずかに上回っただけだった。政党として有権者を引きつける力が後退したと言うほかない。

ある意味、「お仲間」の朝日新聞にここまで言われて、一人も共産党との決別に言及できない政党ってどうなんでしょうか?このような過ちを総括できず、敗北したら敗北したで、現体制を大胆に変えようとする人物が出てこないところに「与党になれない」最大の原因があります。誰の目から見ても共産党の共闘は「小選挙区で1-2万票の上積みがあるが、それ以上に無党派という大きな数の票を失った・より有権者を保守に向かわせた」ことがあきらかなのにここの流れを変えようという候補がでてこないことに将来性のなさを感じてしまいます。

5:経済対策がゴミ

もう一つ、経済対策で魅力な的な政策を打ち出せないのもなんとかしたほうがいいですね。


分散・分権型で内需主導の経済をつくり、公正な分配を推進することによって、持続的な経済成長と分厚い中間層の復活をめざします。
賃金を上げることで個人の消費機会と消費力を拡大し、経済の好循環を確立します。希望する人が成長分野への新規就労や転職を実現できるよう個人や企業の取り組みを支援するとともに、すべての世代において職業教育・職業訓練・就職支援の拡充をはかります。市場との対話を通じて、異次元緩和により財政ファイナンス化した金融政策の正常化をはかりつつ、企業の持続的成長と国民の安定的な資産形成に資する金融環境の構築をめざします。
中小企業憲章の理念を守り、中小企業の生産性向上と、新事業の創出や起業、事業承継を支援します。消費者行政の強化と消費者保護に取り組み、消費生活相談を充実させ消費者団体支援を強化するとともに、消費者被害の防止と被害回復にむけた新たな仕組みの検討を進めます。

何一つ具体性がありません。

山本隊長も呆れています。

そもそもどんな国のリベラル政党でも労働者の賃上げ等を政策に謳うはずですが、なぜ自民党のほうが具体的な目標を持って労働者の賃上げを政策に取り入れてそれなりの支持を獲得しているのをぼーーーーーーーーっと眺めているだけなのかさっぱり意味がわかりません。本当に「誰向けのリベラル」なんでしょうか。プロ市民向けでしょうか。国民はガソリン高に苦しんでいることにもしかすると気づいてないとか?

有権者の最大の関心事を自民党に掠め取られている時点で、本当にどうしようもないですね。

6:なぜ君たちは与党になれないのか?

答えは明白です。

「国民の望む政策を打ち出さず、イデオロギー闘争バンザイの共産党を切れないから」

手前味噌で恐縮ですが、やはり自民党は選挙で戦えないという雰囲気になると、頭をすげ替えて戦い、果実を得ました。すざましい生存本能です。立憲民主にここまでの生存本能や覚悟があるのか?

ガンジーはあくまで、インドを引き裂いてはならないと言う。
しかしイスラム教徒は我々がどんな妥協を示しても、
自分達の国家を作ると言ってその立場を譲らない。
インド各地で起きている血まみれの惨劇はエスカレートしていくばかりである。インドは頭痛から解放されるために、敢えて頭を切り落とさなければなりない。もはやガンジーのような中道の立場は非現実的である。
残念ではあるが、ガンジーは今、政治の中心からそれてしまっている。                                     ――ネルー語録より

現在の立憲民主党候補たちに以上のようなネルーの言葉を贈りたいと思います。玉虫色なアクションでは流れを変えられません。流れを変えるには現実を受け止め、大胆に原因を取り除かないとなりません。

でないと「いつまでたっても与党になれない」


あんまりノロノロしてるとそのうち維新とかれいわとかにしっぽ掴まれますよ。わりとマジで。

あとがき

タイトルにも使った「なぜ君は総理大臣になれないのか」ですが、「永田町と選挙と政治力学」「希望の党顛末記」「香川1区・平井ファミリー」のドキュメントとしては面白いですが、この映画見ただけで小川候補の政治的資質まで高評価するのは誤った見方だと思います。この映画はあくまでもドキュメンタリーであり群像劇であるので、小川候補の著作物やイデオロギーにふれずに、劇中内の情報がまるで小川候補の全てであるかの様に解釈するのは「木を見て森を見ていない」ということに繋がると思います。

しかし、当の立憲民主党の幹部がこのことを理解できていないような(あくまでゴシップレベルですが)動きをしているので、そのことにやはり絶望いたします。だから世間的な認知が高まったとか、プチブームとかで、安易に候補選定するなよ。



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