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リーダーシップ往復書簡 018

リーダーシップと親和性がある考え方として、ここ2回にわたり、パブリックリレーションズ(Public Relations)とインテリジェンス(Intelligence)を紹介してまいりましたが、今回が最後になります。

最終回は株式会社制度です。私はリーダーシップと株式会社制度には非常に親和性があると考えています。

資本主義社会とまで広げて記載をしてもよかったのですが、本稿では、具体的なイメージが湧きやすいので、株式会社制度に絞って記載をします。前提がズレないように、改めてこの文章での定義をします。

(定義)Wikipediaより
「株式会社とは、細分化された社員権(株式)を有する株主から有限責任の下に資金を調達して株主から委任を受けた経営者が事業を行い、利益を株主に配当する、「法人格」を有する会社形態であり、営利を目的とする社団法人である。」
(特徴)Wikipediaより
「株式会社の特質は、(1)法人格、(2)出資者(株主)の有限責任、(3)持分の自由譲渡性、(4)所有と経営の分離、(5)出資者(株主)による所有の5点にあるとし、この五つを兼ね備えたものが株式会社の基本形である」

私が本格的にリーダーシップを学んだのは20代後半の時でしたが、当時、上場会社の役員だったのですが、この親和性に気が付いた時には感動すら覚えました。

リーダーシップさえあれば、資本市場をフルに活用できるのです。

経営者たるリーダーが、お客様の困りごとを解決する商品・サービスを提供するビジネスプランを考えて、それに対して出資してくれる投資家と一緒に当該ビジネスプランを具現化してくれる仲間(スタッフ)を募ります。投資家と仲間はフォロワーなのです。

一般的な感覚では、株主が経営者を選任する権利を持っていることからも、株主のほうが経営者よりも立場が上なのですが、最初は経営者がリーダーで、株主はフォロワーなのです。

当初のビジネスプランに従って、経営者が継続して努力して、お客様の困りごとを解決していけば問題ありませんが、例えば、そこそこの成功で、経営者が社長という地位にあぐらをかきはじめて、最善の努力をしないなどがあるかもしれません。

その場合、リーダーシップが、経営者から株主に移転するのです。

株主が、株式会社制度で規定されている株主の権利から、イニシアティブをとって、経営者に対して、リーダーシップの発揮を求めることができるのです。

お客様の困りごとを解決して会社組織を大きくするというリーダーシップの下では、経営者と株主はあくまで対等な関係であることは忘れてはいけないことだと思います。

さらに株式会社制度の凄いところは、上場会社で時価総額が巨大化した場合、過去の公募増資や金融機関との持ち合い解消から大株主も数%しか保有していない場合は、株主と経営者の力関係が逆転して、経営者のほうが強くなるのです。

つまりは、経営者が強いリーダーシップを発揮して、多くの株主から信任を得た場合は、資本主義社会といえど、経営者の力が強大になるのです。

もちろんユニクロ柳井さんやソフトバンク孫さんのように、経営者が大株主としての地位も維持してオーナーシップを持ちながら強いリーダーシップを発揮することは素晴らしいことだと思いますが、例えば、オリックス宮内さんのように、決して自身は大株主ではないですが、経営者の地位だけで、強いリーダーシップを発揮して、企業を大きくするのも素晴らしいことだと思います。

リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。

また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

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【Q.18】
私は、マネジメントをしっかりとして、部下には組織のルール通りのことをやってもらうべきで、それ以上を望むべきではないと考えていますが、どう思われますか?


<コメント>

最近よく聞く考え方だと思いますが、私は少しだけ違う考えを持っています。

私も、組織である以上、リーダーはマネジメントをしっかりとして、リーダーもフォロワーも組織のルール通りのことをやるべきだと思いますが、リーダーは、フォロワーを信じて、それ以上を望んでみたほうがいいのではないかと思います。

多くの人が、リーダーシップとマネジメントが両立しないように誤解をしているようですが、この2つは同時に存在し得るのです。

リーダーやフォロワーなどの夢を実現するためには、組織マネジメントは欠かせません。マネジメントは現実的な勝ち筋には欠かせない要素です。特に組織が肥大化・複雑化して大きい場合は、組織としての役割分担であったり、ルールであったりがなければ、効率が悪く、実現可能性が遠のいてしまいます。

だからといって、リーダーが、フォロワーを、組織のため・みんなのためだからと、非人間的に部品のように取り扱っていいかというと、それは違うと思います。

以前にも記載をしましたが、全ての人がリーダーシップを発揮すべきです。
マネジメントの考え方に沿って記載すれば、フォロワーにも正しくリーダーシップを発揮してもらったほうが「効率が良い」のです。

なぜならフォロワーである部下は、多くの場合、その組織において、現場を知っている唯一の人間なのです。

そのため部下が組織のルール通りのことをやってくれるだけではなく、彼らにリーダーや組織の目線に立って、リーダーシップを発揮してもらい、組織のルールを改変するような提言をしてもらったほうが、より良いに決まっています。

そこを制限してしまっては、現場を知らない人の指示で組織運営することになってしまいます。

全てが夢や目的の下では平等であるリーダーシップの世界では、一時的に、フォロワーが、リーダーにとって代わるのが正しい場合もあるわけです。

なかなかこのようなケースはないかもしれませんが、大局のために、このような意思決定ができるリーダーは優れたリーダーだとも言えると思います。

もちろん現実問題としては、リーダーとフォロワーでは情報格差がありますので、全ての全てがうまく進まないかもしれませんが、とはいえ、リーダーたるもの、フォロワーを信じて、任せながら、組織を拡大していかねばならないと思います。



※この記事は、2020年2月23日付Facebook投稿を転載したものです。

株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介
 2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。

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