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リーダーシップ往復書簡 056

前回に引き続き、リーダーが身に着けなければならないスキルである利害関係の調整について共に考えたいと思います。

本稿では、利害関係の調整の前提となる当事者に関する情報収集と、その情報に対する分析について記載をしたいと思います。

利害関係の調整をするうえで一番重要なことは、当事者2名に関する情報収集と情報分析です。

当たり前ですが、もし利害関係の調整人であるリーダーが前提となる情報を間違って持っていたら、正しい判断ができず、調整が不調に終わる可能性が高いです。

以前も説明をしましたが、私がここで言う利害関係の調整とは、裁判とは似て非なるものです。

裁判は過去の行動について法律に基づいて裁くものですが、利害関係の調整は未来志向で、各当事者のことはもちろんですが、組織の理屈や世間への体裁など全体のバランスも考えながら利害関係を調整することです。

また、裁判では、なるべくその人の年齢、性別、出身、学歴や職業など属性を排して、その人が起こした行動に着目して、合理的に判断がなされていくわけですが、利害関係の調整では、行動のみならず、その人の属性も内心も、これからのことも全て考慮されて調整がなされます。

そのため、利害関係の調整は、裁判以上に、多岐にわたって、当事者の情報を取得する必要があります。

例えば、利害関係の調整の際に、困っている一方を優先して、もう一方の順番を劣後させる調整をするとします。リーダーがこの片方が困っている、もう片方は困っていないという情報を持っていれば、利害関係の調整は未来志向ですので、将来の時間差を利用した調整も可能になります。

このように手元に情報があれば、様々な判断ができ、様々な調整を図ることができるのです。

そして、やはり難しいのは情報分析です。

利害関係の調整において、多くの当事者は全ての情報を提供してくれませんから、自ら情報収集しなければなりませんし、限られた情報の中で分析をしなければなりません。

時には当事者の顔色を見て判断したり、行間を読んだりしながら、本心を探って、両者の納得度を高める必要があります。

そこは裁判ではありませんので、核心を捉えていれば、証拠不十分でも論理の飛躍でも構わないのです。

インテリジェンスが優れたリーダーならば、優秀な利害関係の調整人になれると思います。

リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。

また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

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【Q.56】社員がリーダーシップを発揮しやすくするために何か意識していることはありますか?


<コメント>

リーダーシップは誰しもが持っているものです。また、地位や役職に問わず、誰もが発揮しなければならないものです。

では、なぜ、多くの場合、一部の人しかリーダーシップを発揮することがないか。

それは「人は性善なれど弱し」だからです。

人は、自分に自信があって、ゆとりがある。つまり強ければ、誰かのために、より良いことをしようとするのです。

そのため、今回のご質問ですが、どのように人を強くすればいいかを考えれば、自然と、社員はリーダーシップを発揮するようになるでしょう。

具体的に意識していることとしては、以下のようなことがあります。

1.まずはリーダーがフォロワーに対して正しくリーダーシップを発揮する。
2.経営理念など、どこに自分たちが向かおうとしているのか明確にする。
3.愛情深く接して、何があっても、自分たちの身が安全であることを理解してもらう。
4.地位や役職は関係なく、全ての人にリーダーシップが求められていることを伝える。
5.情報開示を徹底して、リーダーシップの発揮が求められている状況にあることを理解してもらう。
6.勝ち筋を提示する。
7.マネジメント(経営管理)を徹底して、すぐに成果が出るようにする。
8.リーダーシップの発揮した場合に得られる指標を社内で設定する。
9.期待していることを伝える。
10.ユーモアを大事にする。



※この記事は、2020年10月24日付Facebook投稿を転載したものです。

株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介
 2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。

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