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リーダーシップ往復書簡 055

前回に引き続き、リーダーが身に着けなければならないスキルである利害関係の調整について共に考えたいと思います。

本稿では、改めて、リーダーが行う利害関係の調整について整理したいと思います。

普段ビジネスの世界で生きている人からすると、例えば会社の社長(マネジメントトップ)の人事権の行使など、組織マネジメントでは当たり前となる組織のルールに基づく利害関係の調整は理解できるようですが、組織とは別の非公式に影響力を持つリーダーによる利害関係の調整がいまいち理解できない人が多いようです。

ボランティア団体のトップ、マフィアのボス、幼い子どもたちのリーダーや動物の群れのボスなどを想像すると分かりやすいかもしれません。彼らはしっかりとした組織のルールがない中で、利害関係の調整をしています。上手く調整すれば新たなフォロワーの獲得もできるでしょうが、逆に、下手な論功行賞をすれば寝首を搔かれ下剋上もありうるのです。

リーダーが行う利害関係の調整の関係者ですが、リーダーが利害関係の調整人、そして、調整される側として、利害関係が一致しない当事者2名になります(本稿では分かりやすいように2名としていますが、当事者が2名以上の場合もあります。)。

リーダーと当事者らは必ずしも同じ組織に所属している必要はなく、双方の当事者が実質的にリーダーの影響下にあるところが特徴です。

利害関係の調整の方法ですが、特に法律や組織のルールに縛られることもなく、当事者が納得する方法であれば何でもありです。

そのため、当事者が納得するのであれば、リーダーが直接的に当事者や関係者に対してヒヤリングや調査(捜査)することも許されますし、個別に話を聞こうが2人揃って話を聞こうが、様々な調整の方法が考えられます。

法律に定められた裁判ではありませんから、それこそ明確な証拠がなくとも構いませんし、因果関係が甘くても構いません。当事者が納得する進め方であればよいのです。但し、一般的には、リーダーが公平な手続きを踏まなければ、当事者が納得しない可能性は高いと思います。

裁判と違って、当事者の過去の行動にのみフォーカスがあたっているわけではなく、将来に向かって、どう当事者の利害関係を調整するかがポイントになってきます。

調整の結果ですが、当事者が納得するのであれば、外部から見て合理性を欠いた結論であっても問題ありません。しかし、中長期的に考えて、あまりにも非合理的な結論だと、周囲の人に対して、リーダーの影響力の低下を及ぼす可能性があります。

当たり前ですが、利害関係の調整の結果は、法律や組織のルールによる強制力があるものではありません。そのため、当事者らは、法律的には、その結果を反故にすることができないわけではありません。

しかし、当事者が、もし調整の結果を反故にする場合は、そのリーダーの影響力からの離脱を意味します。リーダーの立場からすると、調整の結果を無視されることはリーダーの影響力の低下を意味しますので、何が何でも当事者が納得するような利害関係の調整をしなければなりません。

リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。

また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

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【Q.55】
リーダーはどのようにマネジメント・スキルを活かすべきでしょうか?


<コメント>

別連載の「リーダーと考える経営の現場・第3回 マネジメントとリーダーシップの違い」でも記載をしていますが、マネジメント・スキルは人を管理するためのスキルです。これに対して、リーダーシップ・スキルは人を導くためのスキルです。

この違いをしっかりと理解したうえで、リーダーは、フォロワーのためにも、積極的にマネジメント・スキルを活用すべきだと思います。

もちろん、フォロワーをがちがちに管理する必要はありません。フォロワーが、より楽しく、よりクリエイティブに、より人間らしく、リーダーシップを発揮できるような環境づくりとして、組織運営が効率的となるように経営管理するのがよいでしょう。

以前から記載のとおり「人は性善なれど弱し」です。フォロワーは弱い存在ですので、リーダーは、フォロワー個人のリーダーシップに期待し過ぎることは避けなければなりません。

リーダーがマネジメント・スキルを活かしてしっかりとした組織管理を行い、フォロワーの成果が出やすくすることは、フォロワーの自信の向上にもつながります。

フォロワーの自信が向上することで、心に余裕が生まれ、他の人を慮ったり新しいことに挑戦したり、フォロワーはリーダーシップを発揮できるようになります。

新たなフォロワーを増やし多くの人が関われるようにするためには、マネジメント・スキルを活かして、リーダーが率いる集団・組織を進化させる必要があります。

マネジメントもリーダーシップも、経営において、ともに重要となるスキルですが、それぞれスキルが求められる場面が違うだけです。

優れたリーダーになるためには、リーダーシップ・スキルもマネジメント・スキルも共に身に着けなければなりません。



※この記事は、2020年10月17日付Facebook投稿を転載したものです。

株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介
 2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。

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