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書くことで見えてくるもの。

夢をみました。

知人の家を辞して最寄りの駅から帰ろうとしたのですが、そこがどの路線がわからない。通過する列車も見たことも聞いたこともないような駅行きばかりで、自分のおおよその現在地すらもわからないのです。

とりあえず上野方面に出てみようと、出発の準備中らしい列車の運転席をのぞいて尋ねてみたものの、運転手は上野への行き方すら知らずにまったく要領を得ないのです。
プラットホームの先に車掌らしき男が数人いたので、あっちで訊いてみようと歩きはじめたら列車は出てしまった。

もうヤケクソになって、つぎにホームに入ってきた列車に飛び乗りました。するとそれはトロッコのような車両で床板しかない。

「うっそー!」

ですよ。
そんな私の動揺を左右に揺らしながら、列車はひたすら山道に向かって走っていくんですね。もし振り落とされでもしたらお陀仏は確実。

あわててまわりを見たら、頼りないつり革が一本ぶら下がっている。それにつかまってようやく安堵したとき、「ぼくはカープのファンなんだ」という声が耳元で聞こえました。
ふり向くと、ふたりの男が立ち話していました。

心細さもあって声をかけようとしたら、車両は予告もなしに峠の途中のようなところ、たとえれば廃線になった三江線の山奥の無人駅より寂れたところにいきなり停止。ふたりの男は、そそくさと下車してしまいました。

どうやらかれらは秘境に渓流釣りにきたようなのですが、山を甘くみているのが一目瞭然の軽装。もう遭難は保証されたような手合いなのですね。
視線で追っていると、コート姿の男(カープファンでない方)は砂利の斜面をズルズル滑りまくっていて、滑落するのは時間の問題なのですね。

そんな光景を後にしながら、列車は再び山奥に分け入っていく…

伊賀和志駅

—とまあ、こんな夢でした。

これはもう、いま執筆している原稿の多難を暗示していると理解するしかないでしょう。

自分の立ち位置もわからず、先のことに迷いに迷って、挙句のはてには甘く見ていた報いの滑落…

これは天からの啓示にちがいありません。あるいは衣笠祥雄氏からの警告かもしれず。

そういえば、一昨日の夜に電話した衣笠さんの知人は、原稿のタイトル(仮題)を伝えたとき、「ピンとこないな」と漏らしてましたっけ。
関係者にピンとこないものが、一般の読者の興味をひくわけもなく…

ということで、「もし衣笠祥雄が監督なら」の出版は断念することにしました。

というのは冗談。(笑
もう少し山の奥までは分け入ってみます。
そこに地獄を見たときは、すっぱり諦めますが。

   ❋—❋—❋

きのうはエンディングあたりで迷走してしまったので、車両でいえば3両目あたりまでもどって書き進めることにしました。

衣笠カープの首脳陣が食事にでかけた休養日。そのテーブルで歓談しているうちに話題は「江夏の21球」になります。
このエピソードから、衣笠さんの人柄、野球観なんかを表現するところ。

もう語り尽くされ聞き飽きた感すらある「江夏の21球」です。でも衣笠さんの視点から一連の流れをリプレイしてみると思わぬ発見がありました。

名画は何度観てもあらたな発見があるものですが、「江夏の21球」にもそんな趣があります。





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