BEATS RHYMES & LIFE: THE TRAVELS OF A TRIBE CALLED QUESTを見た
だいぶ今さらなんだけど、A Tribe Called Questを題材にしたドキュメンタリー映画「BEATS RHYMES & LIFE」をアマプラで見た。もともと日本での公開が2012年だったから10年遅れ。
ちょうどヒップホップから離れてた時期の映画だったこともあって存在を知らなかったんだけど、見たらちょっと胸が熱くなってしまった。なんでこんなに素晴らしいドキュメンタリー映画を今まで知らなかったんだろう?
僕にとってのATCQ
はじめに言っておくと僕はATCQやQ-Tipについて、そこまで極端な思い入れはない。
個人的に90年代東海岸のヒップホップ系トラックメーカーとしては、MuroさんやGrooveman Spot a.k.a. DJ Kou-Gさんの影響もあり、D.I.T.C.のBuckwIldが一番好きでPete RockとLord Finesseがその次。その後にプリモ先生ことDJ Premierが来て、さらにその後にはラージ教授(Large Professor)が続くから、Q-Tipの序列はこの後で僕の中では6番手くらい?
ATCQというグループの存在で考えると、日本で言うとライムスターが一番近いのかなって思ってる。もともとFGクルーは日本版ネイティヴ・タンみたいなもんだし、ネイティヴ・タンの中でのATCQの立ち位置とFGクルー内でのライムスターの立ち位置が似てるからね。
ファニーでポップ路線のクルーに所属しながらコアなアングラ層からも支持されるという絶妙なポジション。
曲として印象に残ってるのはこの辺り。どっちも90年代感覚テイストがバリバリでいい感じ。
Q-Tipとファイフ
これまで知らなかったんだけどATCQの核となる2人のMC、Q-Tipとファイフはクイーンズの同じ地区に住んでいて2歳の頃から連れ合ってる幼馴染だったらしい。
まず始めにファイフがヒップホップに目覚めて、それをQ-Tipに布教。その後ふたりは一緒にライミングを始めて、その後それぞれの友達を引き連れる形でATCQを組むんだけど、いざユニットを組んでみたら想像以上にQ-Tipに華と才能があり過ぎて、ファイフは若干置いてけぼり状態。
本当はファイフだってそこそこ良いラッパーなんだけど、トラックメイクまでやってのけグループの雰囲気づくりに大きく貢献するQ-Tipが凄すぎて霞んでしまう構図だね。
そんな中、ファイフは遺伝性の糖尿病を人気絶頂期の1990年に発症。糖尿病のつらさを理解できない完璧主義者のQ-Tipからは、「生活習慣を見直せ」って叱られるんだけど、それを素直に受け止めることも出来ず、また幼馴染への嫉妬(劇中では愛憎入り混じる関係と表現される)もあって、いつしかグループがギクシャクしてしまい、1998年のアルバムリリース後に解散に至る。
その後イベントなんかでたまに再結成ライブするんだけど、結局仲直りは出来ずの状態が続いてたなか、最後にちょっとファイフの病気で大きな転機があって、それをきっかけに二人がまた同じ方向を向きだす・・・っていうのが大筋のストーリー。
その後のATCQ
今は2023年、このドキュメンタリー映画が上映されてから11年後。結局ファイフは2016年に45歳の若さで亡くなってしまった。
その結果を知ってるだけに、少しだけ二人が雪解けをして希望に向かうエンドロールで綴られるナレーションが熱すぎる。
ファイフが亡くなった2016年の11月、ATCQは18年ぶりのアルバム、そしてオリジナルメンバーで制作された最後のアルバムを発表。この時の制作義務を最良の形で果たしたのだった。
というわけで、今日は久々に映画を見て感動してしまったので、そんな記事をアップ。若干アルコール混じりの真夜中のテンションで書いてるけど、まぁその辺りはご愛敬。
ちなみに件のラストアルバム中で一番好きなのはこの曲。
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