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週刊連載版で読む攻殻機動隊2巻

攻殻機動隊の新作TVアニメの制作が決まったらしい。

放映は2026年だそうで少し先が長い話だし、詳細はまだ何も分からない状態だけど、巷では「ついに原作準拠か?」みたいな噂になって盛り上がってる。

原作準拠アニメだったら嬉しいな。欲を言うとTHE GHOST IN THE SHELL編だけでなく、MANMACHINE INTERFACE編までやってもらえるととても嬉しい。もちろん間には1.5巻で単行本化された素子不在の9課シリーズも挟んでさ。

そんなことを考えてたら、なんだか無性に原作コミックが読みたくなった。AKIRAやナウシカもそうなんだけど、攻殻機動隊もアニメより原作コミックの方が好みなんだよね。

ヤンマガで短期集中連載されてた攻殻機動隊2

とは言え、通常のコミックス(いま手元に持っているのはSOLID BOXとして先行発売されたB5版)は既に何度も読んでるし、今さら普通に読んでも芸がないので、今回はこれまでと少し趣向を変えてヤンマガに一時期短期集中連載されてたDUAL DEVICEというシリーズを読んでみることにした。

これは連載当時としては、MANMACHINE INTERFACEのエピソード5という扱いだったもので、コミックスの方の攻殻機動隊2巻のベースになった話。ちなみに連載版のエピソード1〜4は攻殻機動隊2巻では収録がカットされ、後に攻殻機動隊1.5巻としてまとめられることになる。

で、このDUAL DEVICEの方はというと加筆修正の上、攻殻機動隊2巻の4話"FLYBY ORBIT"と5話"MOLD OF LIFE"になった。つまり、攻殻機動隊2巻の1〜3話と6話は完全な単行本書き下ろしなんだよね。

コミックスで読むと4話と5話だけ少し絵柄や質感が違ってるのに気づくと思うけど、その理由はこういうことだ。

連載版とコミック版の違い

さて、この"加筆修正"なんだけど、実はファンにとっては少しクセモノ。この作品の場合、一般的な加筆修正と違って、オリジナルの絵をデジタルでがっつり書き換えちゃってる部分があるからさ。ちょうどアナログからデジタルへの移行期の作品ということもあって、書き換え部分の絵柄の違いが目立つ。少し大袈裟に言うと、放映当時の絵と新作カットを織り交ぜた劇場版の新訳Zガンダムみたいなものだ。

僕を含め古参の原作ファンは、おそらく攻殻2以降カラーで描かれることになるデジタル絵より、少し荒いけど味がある攻殻1みたいな絵柄が好きな人が少なくないと思うけど、コミックスだと修正されちゃってるから、修正前の絵柄で読もうとすると当時のヤンマガを探して集めるしかない。

今回改めて連載版と単行本版を見比べながら読んでみたんだ結果、僕がわかった大きな違いは以下の6つ。

①連載版にはロキやムサシなどの支援AIがいない
②コミック版は時おりページ丸ごと追加箇所あり
③台詞回しに一部変更あり
④ふきだし文字のフォントが違う
⑤電脳シーンの表現(コミック版はデジタルで描き直し)
⑥連載版最終回にあたる終盤部分の完全描き直し

⑥は言うまでもないからいったん置いておくとして、個人的には①④⑤が大きいかな。この3つの違いがあるから連載版はコミック版と比べてよりダイレクトに1巻や1.5巻と地続き感を感じることができる気がする。

特に④は思った以上に重要に感じた。コミックの方はデジタルの絵柄に合わせて全体をすっきりしたフォントに揃えてるんだけど、アナログの絵だと連載版のフォントの方がすんなりハマるんだよね。

逆にわりとどうでもいいのが終盤以外における②と③。多少の違いはあるものの意外と体感8〜9割は同じなので、ここはあまり気にしなくて良いかも。

ちなみにヤングマガジン連載版とコミックス版を比較したページを乗せてみると↓みたいな感じ。絵自体に関しては予想してたよりは変わってないけど、ふきだし文字のフォントが違うのが分かるはず。

出典:ヤングマガジン連載版"DUAL DEVICE 1" / 士郎政宗著
出典:コミックス版"04 FLYBY ORBIT" / 士郎政宗著
出典:ヤングマガジン連載版"DUAL DEVICE 3" / 士郎政宗著
出典:コミックス版"04 FLYBY ORBIT" / 士郎政宗著

終盤部分の展開について


⑥の終盤部分の展開については、コミックス版でいう5話後半でカラーになる箇所の少し手前くらいから変わってくる。

コミックスではまるまる描き直されてて、アンタレスとスピカが出てくるけれど、連載版では彼女らの登場はなく、そのまま魂合環といっしょに約20ページくらいそのまま電脳戦をしてる感じになってる。

いつもの通り(?)何をしてるかはよく分からないから、うまく内容を文章で伝えることはできないけど、このあたりは連載版の方が攻殻機動隊1巻の終盤っぽい雰囲気で個人的には好き。

出典:ヤングマガジン連載版"DUAL DEVICE 5" / 士郎政宗著
出典:ヤングマガジン連載版"DUAL DEVICE 6" / 士郎政宗著
出典:ヤングマガジン連載版"DUAL DEVICE 6" / 士郎政宗著
出典:ヤングマガジン連載版"DUAL DEVICE 6" / 士郎政宗著

ちなみに最終的な結末は、ほぼ同じになる。単行本版ではこの後にさらに描き下ろしのエピローグが着くけど、先行で出たSOLID BOXではエピローグがないからラスト3ページはほぼ同じ(コミックスではカラーで描き直してるけど)。

出典:ヤングマガジン連載版"DUAL DEVICE 6" / 士郎政宗著
出典:コミックス版"05 MOLD OF LIFE" / 士郎政宗著

連載版がコミックス版とはっきり分岐するのは5話のラスト3ページからだから、明らかな違い部分だけをひとまず読みたい人は6話が収録された1997年38号のヤンマガを探すのがいいと思う。

攻殻2に限らず、士郎政宗作品がいつどの媒体で発表されたかは↓の個人ページにとても分かりやすくまとまってる。この手の個人ファンサイトがWEB 2.0やSNSに押されて今はほとんどなくなっちゃったのがとても残念だ。

今回のDUAL DEVICEで言うと、掲載されてるのは1997年の31〜33号と35号、38号なのでコンプリートしたい人はこれらを探すといい。他の連載作では、カイジの橋編後半が始まったり頭文字Dで茂木なつきの援助交際がタクミにバレるあたりで、読んでて懐かしい気持ちになった(笑)

当時の(今もだけど)ヤンマガはグラビアが掲載されてるから、アイドル系の古雑誌が売ってるお店なんかでも見つかるかもしれない。部数は多いし極端な高騰はしてないから、あれば普通に買えるはず。


さて、そんなわけで今日は攻殻機動隊2のヤンマガ連載版の話。いろいろ検索してみたけど、WEB上にそれほど情報がまとまってないみたいだったから、「自分ならこんなこと知りたい」を、もとに少し僕なりに書いてみた。

この辺のマインドは音楽系ブログをやってた頃と同じ。

ちなみに今回攻殻機動隊を読んだことで、昔の士郎政宗作品も再読したくなり、今はアップルシードを読んでる最中。アップルシードも情報量多いから、しばらくは士郎政宗漬けになりそうだ。。。

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