【スーツケース図鑑】堅実ブランドBERMAS、新作TRAVEL SMARTは意外にも…！
どうも、三度の飯よりスーツケース、スーツケースの伝道師さとです。スーツケース、トラベルグッズのバイヤーの私が今日も大好きなスーツケースを徹底解説していきます！
今回はドイツ生まれ、日本育ちの堅実ブランド「BERMAS」の新作が登場です。
BERMASってどんなブランド？
BERMAS（バーマス）は1919年にドイツで生まれた歴史あるブランドです。1996年のアトランタ・オリンピックでは、ドイツ・チームの公式スーツケースに採用された実績もあります。2008年に兵庫県豊岡市の衣川産業株式会社がブランドを取得し現在に至ります。
ところで、ドイツのモノづくりといえば質実剛健なイメージがありますが、ブランドを引き継いだ衣川産業さんもまさにこのイメージ。なんと創業が1767年の超老舗、実に真面目な会社です。
こんなエピソードがあります。あるときこんな質問が私に届きました。
「バーマスと他社を比較しているのだけど、明らかにバーマスのほうが大きいのに記載されている容量が少ない。これはなぜ？」
早速、衣川産業さんに聞いてみました。するとこんな回答が。
「容量の計測に対する自社基準が厳しすぎるんです。でも大きく表示して実際に使ったときにガッカリされるよりはいいかなと。まぁ、その点ではだいぶ売り逃していると思いますけど笑」
損しても誠実でありたいと…なんとも真面目！！でもそんな会社だからバーマスの歴史を引き継げているんだと思います。
そんなバーマスの新作ですが、紹介する前に現行ラインナップを簡単におさらいしましょう。新作の位置づけがよりわかりやすくなるはずです。
・INTER CITY
フロントオープン、静音キャスター、ストッパー機能を搭載したバーマスの人気シリーズ。さらにドリンクホルダーやUSBポートなどを搭載したINTER CITY PLUSという上位機種もあります。
・EURO CITY II
容量拡張機能付きのフロントオープンシリーズ。内装もシンプルなのでビジネスユースよりもガバッと荷物を収納したい人向けのトラベルシリーズ。
・HERITAGE＆HERITAGEⅡ
HERITAGEはコスパを重視したスタンダードなシリーズ。その後継品であるHERITAGEⅡは機能が追加されたと同時にお値段も若干UP。個人的推測では原材料高騰や為替の影響でコスパで売ることが厳しくなってきたのでリニューアルしたのでは？と勝手に考えていますが、真面目な良モデルです。
以上が現行ラインナップです。価格は税込27,500円スタート。（2024年8月現在）どのモデルも品質は良く、使いやすく、シリーズごとのすみ分けもしっかりされています。しかし、飛びぬけて面白い機能が無い点もバーマスの特徴です。まぁ、そこがバーマスらしいんですが笑。
新作「TRAVEL SMART」を徹底解説
さぁ、そんな堅実で真面目なブランドの新作「TRAVEL SMART」を見ていきましょう。まずは見た目からチェック！
バーマス伝統のダブルリブデザインを踏襲しつつ、細かい縦リブをミックスしたボディデザイン、そして他のシリーズにはないニュアンスカラー。これはトレンド感がありますね！…と同時にスーツケース好きなら気付くはずです。某北欧風ブランドのポジションを取りにいこうとしてませんか？って。結構挑戦的な雰囲気がありますよこれは。
・基本スペック
サイズは現在のところ、機内持込サイズと中型53Lの2サイズ。容量は目安だと思ってください。衣川産業さんのことだから厳しめの計測だと思います。ポイントは中型が一般的な60L以上ではないこと。これも最近のトレンドで、近場の旅行では60L以上だと大きすぎる、とはいえ機内持込だと小さいというニーズがあるんです。この辺りも抜け目ないラインナップになっていますね。
価格にも注目。原材料の高騰や、為替の影響もあって、コロナ前の2019年頃と比較して1.3倍近くも上昇しているスーツケースの価格。その中で機能と品質を売りにしているブランドが2万円台前半で新作を出してくることは非常に珍しいです。
・細部の機能チェック
ボディ側面にも強度維持のためのリブをしっかり入れています。ボディとキャスターの色合わせによる統一感出しをしている点も好印象。サイドハンドル、底鋲もしっかりついています。
・ボディのリブ形状
ボディのリブは既存の主力シリーズのように丸みをもたせた形状ではなく、よりフラットにすることでスマートかつユニセックスな雰囲気が出ています。
・ボトムハンドル
底部分にもしっかりとリブと凹面を加え、底が荷重でたわまないようにされています。そして荷物の上げ下ろしに便利なボトムハンドルも装備。
・キャスター
キャスターは静音性、走行性、耐劣化に優れた日乃本錠前製のサイレントランを使用したダブルキャスター。不用意な動きだしを回避できるキャスターストッパー機構付きです。
個人的にはダブルキャスターではなく堅牢性の高いシングルキャスターのほうが好きですが、走行安定性のありそうなダブルキャスターが業界の主流ですから、そこは仕方ないですね。
・メインルーム内装
両面開きのメインルームの内装はシンプルな片面仕切りです。内装仕切りは全て全開することが出来るので、フロントオープン側のみを使用したワンルームのように使うことも可能です。
上記の画像のようにすることで収納部に深さがでますので、大きな荷物をガバッと収納することが出来ますし、省スペースでのパッキングも可能になります。移動時にフロントオープン側から一番奥までアクセスすることも出来るので荷物の取り出しは非常に便利だと思いますよ。
・フロントオープン部内装
移動時に頻繁に荷物を取り出すユーザーからするとこっちのほうがメインルームと呼んでもいいかもしれません。フロント側は薄めのシンプルな構造。多くのブランドではこの部分にクッション付きのPCポケットを採用していますが、TRAVEL SMARTは小さな2つのポケットになっています。
ペットボトルや充電器を入れるのに丁度良いサイズ…ではありますが、出張が多くて普段の移動でもスーツケースを使う私としては、ここはPCポケットが欲しかった。残念！
さて、バーマスの新作「TRAVEL SMART」をお届けしましたが、私からの一方的な品評はフェアじゃありません。私自身もスーツケースの開発をしている立場として、レビューを見ていて誤った解釈をされていると反論したくなることもあります。ということで、ここで衣川産業さんからもひと言いただいておきましょう！
ちょっと待った！ブランド側からもひと言
本日は浅草橋にある衣川産業株式会社、東京営業所を訪れました。営業担当の浦部さん、よろしくお願いします！
浦部さん：よろしくお願いします。でも、ほっといたって伝道師が全部語ってくれるでしょうから、私から言うことも特にないですよ笑。
伝道師：そんなことないでしょう！じゃあ、こっちから聞きますが、バーマスっていつも堅実というか、間違いのないモノづくりをする印象があります。嫌な言い方すると冒険が少ないというか…。でも今回のTRAVEL SMARTは価格の面で意外にも冒険されたと思うのですが、その点はいかがでしょう？
浦部さん：おっしゃる通り価格は非常にこだわりました。提携工場、物流と様々な面でアプローチをして、どうやったら価格を抑えられるか何度も話し合いをしました。とはいえ、品質面で安心してもらえるのがバーマスの証ですから、その折り合いをつけることに苦心しました。
伝道師：どうしてそこまでして価格にこだわったんですか？
浦部さん：新型コロナの5類移行で人流が活発化し、旅行需要も増えました。賑わいを見せているスーツケース業界ですが、これまでケースを作ったことのないメーカーや、東アジア方面の新興工場系ブランドの参入も増えたことで、品質面が担保されていないスーツケースが多く出回っているのも実情です。特に若い方がこうしたスーツケースを購入し、すぐに故障してしまい、買い替え時に当社製品を検討していただいているという声もありました。
我々としては激安ケースを作るつもりはありませんが、出来る限り買いやすい価格で良いものをお届けしたい、そんな気持ちがあったので今回は価格にこだわりました。
伝道師：その気持ちすごくよくわかります！いくら価格が安くても品質が伴っていないと最終的にはユーザーの負担を大きくさせますしね！
浦部さん：あ、あともう一つ言っていいですか？
伝道師：どうぞどうぞ。
浦部さん：フロントオープンポケットの内装に関してですが、旅行メインで使用する方からはPCポケットがあると厚みが出てしまい、収納スペースが狭くなるという声がありまして。ビジネス仕様のシリーズとしてINTER CITYがあったことから、今回はPCポケット無しにしました。
伝道師：確かにその考えもありますね！パソコンを持っている方も自分自身で専用のクッションケースを使うこともあるでしょうし。であれば、取り外せる簡易型のPCポケットという案もアリじゃないでしょうか。
浦部さん：そうですね。ユーザーの意見を集めて今後に活かしたいと思います！
伝道師：ぜひ！本日はありがとうございました！
まとめ
いかがでしたか？堅実ブランドの意外と攻めた新作は「価格は低く、品質は高く、視座はより高く」そんなアイテムでした。必要な機能は網羅していてこの価格は非常にお得だと思います。物価高騰の中、いつまで維持されるかわかりませんが、その挑戦を応援しましょう！
我々のお給料が物価以上に上がるのがベストなんですけどね！笑
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