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近所に貝塚が欲しくなる…「縄文人に相談だ」(望月昭秀著)

「人生相談」を読むのが好きです。

たぶん同じ趣味の人も多くて、新聞でもWebサイトでも、けっこうありますよね。だいたい「相談内容」はしょーもないものが多くて、ご本人は深刻なんでしょうけど、他人からみたら「そんな勝手な悩みは、どうなの?」ってものが多い。で、それに回答者がどう答えるかが、また面白い。

読売新聞の「人生案内」、最近読んでいないけどまだやっているかな?やっていますよね。1914年から連載が続いているらしいです。いったい今まで何人の悩みに答えてきたんだ…すごい。

縄文人の回答がね、なんかいいんです

さて、望月昭秀さんの「縄文人に相談だ」(角川文庫)です。2018年に単行本として図書刊行会より発行され、2020年に文庫化されています。

なんか、ちょっと受け狙い?でも軽く読めていっかと何の気なしに2018年に買ったと思いますが、今ではすっかり「心が疲れたときに、少々アルコールを入れながら読む大好きな本」の地位を占めています。

内容はストレートに、読者から寄せられたお悩みに縄文時代に生きた縄文人2人が、ある時は「悩み相談コラム」風に、ある時は会話体で答えています。

まあ縄文人ですからね、そんなに役立つ回答はないでしょうと思うから、寄せられる悩みもけっこう適当と言えば適当…。

が、なんか縄文人の回答がね。いいんです。

21世紀の合理性って「モヤモヤ」には無力じゃないですか?

21世紀の常識とか合理性って、役に立つときもあるかもですが、面白くないじゃないですか。面白くなかったらハッとしないし、そしたら結局は解決もしてくれない。

対して縄文人の回答は、常識外のポジションから「確かに…言われてみれば…」というボールがぼーんと来る感じ。そしてだんだん縄文時代が「なんかいい時代だったんだなー次に生まれ変わるときは、弥生より縄文がいいなー」とか思い始めて、「ま、常識なんて言われてもね」と、お気楽でいいんじゃなーいと、モヤモヤしたモヤが、なってくるんですよ。

森とか貝塚とかがあって稲作のない時代からのお答え

縄文時代の「悩み解決キーワード」を勝手に拾ってみました。

森が見ている。夜をなめるな。貝塚にポイッ。まとめて全部貝塚に。縄文時代は1日4時間働いていなかった(らしい)。寅さんは決して稲作をしない…などなど。

貝塚の出現率が高いです…どんな質問への回答かまでは書きませんが。

でも、縄文時代は1日4時間しか働かなくても生きていけたって…この2300年くらい人は何をして、こうなっちゃったのでしょう。現代は本当に縄文時代より豊かなのかな。

縄文人、1万年ももった時代を作ってきた人たちだと思うと、それの知恵は活かすべく、彼らからのアドバイスは真剣に読むべきではないかと思います…まあ、お酒とか飲みながら。

余談雑談

その1
ちなみに作者の望月さんは「縄文ZINE」という縄文フリーペーパーを発行されていて、ご本業はグラフィックデザイナーかと。以前一度だけお仕事をお願いしたことがありました(面識はないです)。

その2
つい先日、東京国立博物館に行ったとき、平成館の考古展示室を久々に見ました。

ざーっと石器時代から江戸時代までが流して見れるのですが、縄文時代までは「どうか生きていけますように、子どもが元気で生まれて生きていけますように」と祈っていた感…。

そして弥生以降は「お米がいっぱい収穫できて、それが蔵に貯められて、いろんな財宝が欲しいな。死んだら極楽に行って、もっと良い環境に生まれかわりたいな…。政権も取りたいし、小判とかほしいよなぁ…」と、祈りも暮らしもなかなかに生臭くなってくるのが、ものすごく視覚的に分かります。ぜひ企画展などに行かれる人は、立ち寄るといいと思います。有名な土偶も埴輪も、いっぱい見られます。

その3
ちなみに私、新潟の長岡市の出身です。そう、火焔型土器の名産地。駅にはレプリカが飾ってあります。自分の先祖が昔、火焔型土器を作っていたりしたらいいなー。そういえば昔は「火焔式土器」って習った気がします。でも「型」の方が、たぶん正確。


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