2019ベストライブ

野宮真貴(12.5 ビルボードライブ東京)
解散以来18年振り、ソロ名義では初めて全曲ピチカート・ファイヴの楽曲で構成されたライブ。
ピチカートについてはリアルタイムで知ってはいたものの、ちゃんと聴き始めたのは2005年からなので、ライブを目撃する事は出来ていない。
それでもピチカートの曲は全く色褪せず00年代の自分に響き、青春のサウンドトラック的存在になっていた。復活は無くても、いつか野宮さんの声でピチカートの歌を聴きたいとずっと思っていた。

そして訪れた2012年。セルフカバーアルバムのレコ発ライブでピチカートの初期シングル曲が8曲も披露された。感動は大いにあった。でもそれらは大幅にリアレンジされたもので、欲を言えばやはりピチカートの原曲アレンジで聴きたいと思っていた。
あれから7年。今回のライブは中塚武が音楽監督を務め、ヒット曲の数々がオリジナルに近いアレンジで披露される贅沢なステージだった。ハッピー・サッド、大都会交響楽、悲しい歌まで...!出し惜しみという言葉を知らないのか?と思うほどだ。
トドメはアンコールのメドレー。スウィート・ソウル・レビュー、恋のルール・新しいルール、プレイボーイ・プレイガールまで!この日、ピチカートのライブを観ていないコンプレックスがだいぶ消えた。

小沢健二(11.12 豊洲PIT)
復活以降のツアーは最低1回ずつは観ているが、今回はツアーではなく豊洲2デイズのみ。しかも、ライブハウスでシンプルな編成でのバンドセットだった。そのせいか、いつになく観客との距離(物理的な、だけでなく)が近いライブだと感じた。
軽快なホーンの音色はないが、タイトなバンドサウンドは「シナモン(都市と家庭)」や「フクロウの声が聞こえる」などでとても効果的に響いた。そのうえ、過去のライブ以上にフロアは大合唱になった。「ぼくらが旅に出る理由」間奏のホーンパート、「痛快ウキウキ通り」の♪パーパラッパッパラなどだ。
しかし、過去のどんな名曲よりも新曲の「彗星」が1番輝きを放っていた。これが1番素晴らしい事だ。この日は音源よりも壮大なロングver.で、しかも撮影可。来年の大規模ライブでこの曲がフルバンドで披露されるのが早くも楽しみだ。
ちなみに自分が行った2日目のみ、「今夜はブギー・バック」が演奏されスチャダラパーが登場するというサプライズもあった。

松任谷由実(3.7 日本武道館)
一回観ておきたいという気持ちがあったユーミン。今回のツアーはこれまでのライブ演出の要素を取り入れたベスト的なライブという事で、思い切って参加した。しかも28年振りの武道館というメモリアルな公演だ。

しかし、開演するなりいきなりの衝撃。ユーミン、象に乗って下からせり上がってくる!しかもこの演出、40年前のツアー演出からヒントを得たのだとか。一体どうなってるんだ。
会場はアリーナ中央に円形のステージが設置され、360度から観客が見守る中、名曲の数々が披露されていく。ダンデライオンも、Hello,my friendも、DESTINYもやった。正直中盤はコアな選曲で難しかったが、衣装替えや演出が目まぐるしく変わり、観る者を全く飽きさせない。後半には空中で高速回転するかつてのシャングリラ的な演出まであった。
曲を知らない人でも、十分楽しめるであろうショーだった。これでチケット1万円以内というのは、安いのかも知れない。

米津玄師(1.27 横浜アリーナ)
アリーナ8列目、肉眼でも余裕で見える神席だった。アルバム「BOOTLEG」収録曲を中心に、ヒットチャートを賑わせた楽曲満載のセットリスト。紅白出場の余韻が冷めない中での本編ラスト「Lemon」はしかと心に響いた。

J-POPの大箱ライブでは、よく観客がサビ以外でもずっと手拍子をしながら観ているのを目にする。この日もその例に漏れず、ではあったが、1曲目「Flamingo」のビートに乗せて皆が手拍子していたのは結構異様だった。2019年、あんなエッジーな楽曲が大衆音楽として成立しているのだ。米津玄師は日本人のポップの価値観を本気で変えに行っている。

欅坂46(9.18 東京ドーム)
初の東京ドーム公演をアリーナ席で拝見。スクラップ工場をモチーフにしためちゃくちゃ金かかってそうなセットで、ステージ上にあった車も本物なんだとか。
ツアーを欠席していた平手友梨奈が冒頭からフル出演し、セットと映像が一体となった演出を繰り広げる。センターステージでは時折水が高く上がる演出もあった。まるでラスベガスのホテルのショーだ。
アンコールラスト、久々に披露された「不協和音」にはこの日1番のどよめきが起きていた。でも個人的には「世界には愛しかない」と「二人セゾン」が泣けた。

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