見出し画像

実録・コロナ禍フェスレポート[やついフェス編]

6月3週目の土日は、渋谷でやついフェス2021でした。ここでは日曜日の様子をレポートしていきます。

6月20日、東京は緊急事態宣言最終日。翌日からまん延防止措置に移行という事だったので、今回はギリギリ宣言下におけるフェス開催という事になります。

そもそもサーキットフェスって、昨年の段階である意味普通のフェス以上に問題が多かったんですね。各会場における動員自体は大型フェスに遠く及ばないですが、一人の人間が様々な会場への出入りを繰り返したり、場合によってはその間に飲食店にも行ったりするわけで、そこまではもう管理しきれないわけです。

そういった性質は1年経ったとて何ら変わった訳ではなく、もしクラスターが発生してしまったら、その流れを突き止めるのは大変だろうと思います。今回の開催においてはライブの現場においてここ1年クラスターが起きていないという実績や、観客1人1人のモラル頼みなところも大きいでしょう。まあどのフェスでもそうですが。

今回、従来の有観客と違った点としては

消毒、検温(もはや当たり前)
スマチケのみの入場となり、参加者情報を管理
・使用する会場の数が従来の約半分 (コロナの影響で閉店した会場もある)
動員も約半分で、各プラットフォームによる無料生配信あり
ライブハウスにマス目や椅子がある

といったところでしょうか。

お昼12時前、まずはリストバンド交換から。O-EASTやO-WESTを横目にclub asiaも通り過ぎて少し歩いて行ったところに交換所がありました。開演直前だったものの並んだ時間は僅かで、非常にスムーズだったと言えます。ここでは検温に加え、うちわの配布がありました。

まずはO-WESTへ。前列2列は椅子ありでしたが、着席禁止を意味するバッテンなどはありません。各自自主的に1席空けて距離をとったり、人気アクトの場合は全て埋まったりという感じでした。今回お目当ての民謡クルセイダーズは1席ずつ空いていて、ゆったり観られる状態に。その後ろのスタンディングエリアにはステップマークがついてました。

画像1

気になっているうちにコロナ禍に入ってしまいライブを観る機会を逸してしまっていたバンドでしたが、これは最高。フジロックのフィールドオブヘブンがめちゃくちゃ似合いそうなヤツでした。なんつーか、これバンドの発想の時点で勝ちなんですよ。異なるジャンルの融合のアイデアってもうある程度出尽くしたような気がしていたけれど、民謡とワールドミュージックを融合して踊らせるって、この手があったか!という感じ。参りました。

ヴォーカルのフレディ塚本さんが民謡をちゃんと歌えるおじさんで、その隣にいるMegさんという女性シンガーもまた、民謡を歌える方でした。しかし後ろのメンバーまで入れると年齢性別バラバラなうえ、音楽的嗜好も結構違うのでは?という印象を受けました。どうやってこのメンバーで結成するに至ったのかは不思議ですが、だからこそ唯一無二なものになったんだろうなと思います。「炭坑節」の盆踊り、フジでやったらめちゃくちゃ盛り上がるはず。

昼食を食べ、再びO-WESTで佐藤千亜妃。キーボーディストとの2人編成で、彼女はヴォーカルのみだったりギターヴォーカルだったりでした。音源だとアレンジに幅を持たせていて特定のジャンルによらないタイプのシンガーですが、この編成だと歌に焦点が当たってメロディーの強さが響いてきます。

「空から落ちる星のように」はすごい渾身のバラードなんだと思うんですが、どうしてもいきものがかりの「風が吹いている」がよぎってしまいます。サビが似てますね。ちなみに「橙色のラプソディー」は年内リリースのアルバムに入る曲とのこと。

You Make Me Happy
Summer Gate
大キライ
橙色のラプソディー
Bedtime Eyes
空から落ちる星のように
カタワレ

そしてTSUTAYA O-EASTへ移動。1Fフロアには全てマス目がついていて、これが噂の!となりました。

画像2

でもこのマスを跨ぐように立っている人もいるので、結局意味があるのかは分からん部分もありますね。自分が隣の人との間に距離をとって立ったつもりでも後からその間に人が入ってきたりとか。ちなみに、ドリンク交換で引き換えるドリンクがペットボトルになってたところにコロナ以降を感じました。一気に飲まなくていいからむしろ便利です。

そしてお初のニガミ17才。2020年1月に彼らが出るイベントで行きたいと思っていたのがあったのに結局行かなくて、そのままコロナ禍に突入したため観る機会を逸してしまったバンドです。しかもその間にドラマーの小銭さんが脱退してしまうという。。ミドリの頃から観ていた方なので残念です。

ライブ冒頭、いきなり前に4人並ぶ感じはメジャーデビュー前のゲスの極み乙女。を思い出しました。8年ぐらい前、SEの「行くぜっ!怪盗少女」に合わせてポーズを決めてたのを覚えてます。

で、ニガミもまたポストゲスみたいに言われるタイプのバンドだと思うんですが、もうちょっとトリッキー要素が強かったですね。分かってはいましたが、平沢あくびが曲者でした。ビートに合わせてティッシュを出してはステージにばらまく、急にだんごを持ってくるなど、ステージ上手ですぐ持ち場を離れるタイプのパフォーマーの最新系でした。Hermann H.& The Pacemakersのウルフやthe telephonesのノブなどと同じ系譜ですね。女性は珍しいかも。

ちなみにライブ終盤の展開、凄まじいものがありました。めちゃくちゃかっこいいところだったのに急に曲を止めて、脇のスタッフに残り時間を確認する岩下さん。最後の曲なのに持ち時間があと11分もあると分かると、そこから怒濤の即興タイムに突入。この曲は五拍子の曲なのに観客の手拍子が四拍子であると説明しリズム隊を四拍子に切り替えさせたり、急にヒップホップ、青春パンク、ボサノヴァ風にアレンジを変えたりで圧巻の即興性でした。新しく入ったドラマー、めちゃくちゃ負担がデカいのについていけていて、あの方は一体どこから連れてきたんでしょうか。

ふと思ったのは、ニガミは2020年にめちゃくちゃ飛躍するはずだったバンドなんですよね。コロナがなければ夏フェス出まくって、冬にはフェスで1万人ぐらいは動員できたと思います。コロナに影響受けてない現役のバンドなんていませんが、ニガミはドラマー脱退含めて色々と運命が変わってしまった気がします。でも今回のライブパフォーマンス観る限り、みんながライブに触れられる機会が増えれば必ずや多くの人に伝わるチャンスは訪れるはず!と思いました。

A
化けるレコード
おいしい水
ねこ子
こいつらあいてる
ただし、BGM
かわきもの

そのままO-EASTに残ってお笑いステージのチャンス大城、コウメ太夫を鑑賞。チャンスさん、10分ほどの持ち時間で特に脈絡なく小ネタを連発してました。ややウケながら「肩ピアノからの、かたせ梨乃」好きです。コウメ太夫はあまりに淡々とチャンチャカチャンチャン...を繰り返す空気に笑っちゃったけど、マイケルジャクソンのステップのキレの良さには驚き。こないだクイズ!脳ベルSHOWで特技としてムーンウォークを披露してたけど実はダンス自体が得意のようで、めちゃくちゃ意外性があるしテレビでもフィーチャーしていいんじゃないかと思います。

渋谷club asiaへ和田彩花を観に行くと、フロアはこんな感じ。

画像3


和田彩花、なんとヴォーカルなのにステージ上手、終始コーラスのような立ち位置で最後まで動く事はありませんでした。しかもメンバー編成についての話以外にこれといったMCはなく、極力削ぎ落としてシンプルにしているように感じます。

言及していたメンバー構成については今回からサックス&フルートでハラさんが新加入したのと、ドラムがいつものメンバーでなくMagic,Drums&Loveのユリナさんになっていました。ユリナ、前身バンドの住所不定無職(改めてすごいバンド名)以来でしたが、別人のようで言われなきゃわかんなかったです。ちなみに劔樹人さんは終始ウッドベースでした。

ライブはポエトリーリーディングからスタートし、グループ時代のような盛り上がる曲は一切無し。クセでケチャを入れてるヲタクがいて、気持ちは分からんでもないですが残念ながら曲には合ってないんですよね。キャリア20年を経てビルボードで大人のライブをやるようになった人、みたいな成熟したライブを20代半ばでやってるのが凄いです。これについていけるかどうかファンは試されてる感じだけど、別に本人が試してるつもりはなく、単にやりたい表現を突き詰めたらこうなったんだろうなと思います。

空を遮る首都高速
mama
パーク
ホットラテ
For me and you
パターン

再びO-WESTでSCOOBIE DO。1番ライブを観てるバンドだし2週間前にも観ているので何の新鮮味もないですが、前回はアルバム再現ライブだった事もあり被ったのはたったの1曲でした。今回はリード曲中心の初心者向けセトリでしたが、ファンが少なかったうえに生配信もあったのでこれで良かったのだと思います。その証拠に「本日もロックとファンクの最高沸点F.u.n.k.a.l.i.s.m.o ファンカリズモ貫く侍四人衆、俺達がSCOOBIE DO!」というお決まりのくだりで後方からクスクス笑い声が聞こえてました。いい気分はしないけど、確かに予備知識なしにそんな独自のワード言われても訳分からんよなとは思います。こっちはもうファンカリズモの精神を植え付けられているので、なんの疑問も持たなくなってしまいました。笑

バンドワゴン・ア・ゴーゴー
アウェイ
What’s Goin’ On→ラップ有り
Alive Song
イキガイ
真夜中のダンスホール
Back On
夕焼けのメロディー

再びclub asiaに移動して、いとうせいこう is the poet。ダブポエトリーから始まり、ラバーズロック風の歌モノを経て、超大作の怒り組曲へ。これ、最後の曲で15分ぐらいと言ったはずが結果25分やってました。"君は君に虐げられてきた、君は君に騙されてきた”って、なんだか自分の事を言われてるようでドキッとします。

ちなみに和田彩花がリハの段階からライブを観に来ていて、本番は最前列で観てたのが印象的でした。あの決して広くないasiaのフロアの中に堂島孝平や劔樹人もいましたね。

フェス全体として、不便さを感じる場面は特になかったです。入場規制など一度もかからなかったし、予定していたものは全て観られたうえに動員も少なくて快適でした。こうして実績を重ねて、ライブシーンを少しずつ活性化させていくしかないですね。

ちなみにO-EASTに未だに掲げてあったコーチェラ2020オフィシャルツアーの看板、なんか切なかったです。

画像4


↓参考:前回のコロナ禍フェスレポ:VIVA LA ROCK編


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?