|short story|黄金の海
まあるい黄金色(こがねいろ)の空間の、そのまん中へ。
ペルセフォネは進んでゆく。
遠くから見るとまるで海のように、黄金色は濃淡を描きながらひとつになって、近くで見るとそのひとつひとつは、先端をゆたかに実らせている。風に揺られて、波のように、黄金色の空間は東から西へと揺れてゆく。
森の端から歩いてゆく。まん中へ、まん中へ。まあるい空間はその周囲を深い森に囲まれている。まん中へ、まん中へ。黄金の海を、泳ぐように進んでゆく。かさかさと音を立てながら、けれどまるで照らされてゆら