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|short story|ひかりと少女


深い
深い
紺色の
闇夜


ひかりは
おりて
おりて
おりて


透明な
川のほとり

透明な
水を宿す少女

おりて
おりて

少女へ
おりて

少女へ
溶けて

少女は
内から
ひかりだす

透明な水が
必要だった

ひかりは言う

少女には聞こえない

けれど
ひかるからだを
みつめ
わかっている

外套を羽織るから
大丈夫

わかるひとにだけ
みせましょう
少女は言う

ひかりはうなずく

うなずいたこと
少女にはわかる

はじめての家を
見つけたひかり

はじめてのひかりを
宿した少女

またふたつと
なる日まで

ひとつで
ふたり

またふたつと
なるとても

ふたりで
ひとつ

川のほとりを
下流へと
歩いてゆく

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