見出し画像

#100巷で噂のChatGPTを調べ物に使ってみたら…(1)

 今回は巷で噂のChatGPTを調べ物に使ってみるとどのような答えを得ることが出来るのか、について、歴史学に関わる範疇で試してみました。
 インターネット黎明期から学生であったため、図書館での書籍の検索は、もちろんカード目録でした。そのため、思いつく限りの、ありとあらゆる言葉を書籍タイトルに見立てて検索して、先行研究を集めて研究史をまとめたりしていた世代ですので、図書館の電子目録やCiniiを活用できるようになり、またGoogleなどの検索機能でもさまざまな事項が検索して情報を集めることが出来るようになって、便利にあったという隔世の感があります。より網羅的に物事に当たる必要がでてきている昨今。もしAIでの検索がGoogleなどの検索よりも、より的確な結果が出るのであれば、AIの素晴らしい能力を自身の研究に生かすのに躊躇はいりません。ぜひ活用して、より詳細に情報を集めたいと思うのが人情です。そこで、どの程度の情報収集が出来るのかを、自身の研究に照らし合わせて検索してみました。これにより、検索結果の精度の判定も確認出来、また、もし自身の知らない研究論文や事実があればそれを参考に研究にフィードバック出来る、ということで試してみました。

 まずは、自身の研究対象の大阪府初の貴族院多額納税者議員の久保田真吾について、その経歴を聞いてみました。これについては、Wikipediaにも掲載されている人物であるため、あまり広く知られていないにしても、少なくともWikipediaの情報くらいは最低限拾ってくるのではないか、という目算もあり、試してみました。

ChatGPTの答えは以下の通りです。

 久保田真吾は、日本の明治時代に活躍した政治家・実業家であり、特に東北地方の名望家として知られています。
 彼は秋田県を中心に土地や鉱山などの資源を所有し、その豊かな財力を背景に政治的な影響力を持ちました。彼は政財界に広い人脈を持ち、政府との関係も深かったため、東北地方の発展に大きな役割を果たしました。
 特に、明治時代の日本は国家の近代化が急務であり、久保田はその中心人物として、多くの事業を推進しました。たとえば、彼は自らの資金で鉄道や電力会社を設立し、地方経済の発展に寄与しました。また、彼は官営模範農場を設立し、農業の近代化にも取り組みました。
 さらに、彼は東北地方の教育や文化の発展にも力を注ぎました。彼が創設した秋田県立中学校は、後に秋田大学となり、今もなお地域の中心的な大学として発展しています。また、彼は芸術や文化にも深い関心を持ち、多くの美術品や文化財を収集し、後世に残すために博物館を建設しました。
 以上のように、久保田真吾は、東北地方の発展に多大な貢献をした地方名望家の一人であり、その功績は今なお後世に語り継がれています。」

「久保田真吾が地方名望家として果たした役割を教えてください。」ChatGPTの回答による。

 ちょっと思いもよらない回答で驚きました。実際の久保田真吾は大阪府出身ですので、秋田県出身というのはどこから引いてきたのか見当もつきません。念のため、秋田県立秋田中学校の創設者や校長に同姓同名、あるいは似た名前の人がいるのかも探してみましたが、該当するような人物にはたどり着きませんでした。

 もう一つ別に、質問を立ててみました。こちらも自身の研究対象の、大阪府下で郡長を歴任した深瀬和直についてです。深瀬は、Wikipedeiaには土佐勤王党員として、幼名で掲載されているので、探し出すのは久保田に比べると更に難しいですが、国立国会図書館の所蔵する『河内忠勤つづら』という書籍の目次中で登場するため、インターネットの検索で出てこないという訳ではないので、探し出すことが全くの不可能ということではないと踏んで候補にしてみました。

 ChatGPTの答えは以下の通りです。

 深瀬和直(ふかせ・かずなお)は、日本の実業家であり、特にユニクロの成功に大きく貢献したことで知られています。
 深瀬は、1954年に広島県で生まれました。大学卒業後、1978年に早川商事(現・ファーストリテイリング)に入社し、店舗開発やマーケティングなどの業務に従事しました。1994年には、当時赤字続きだったユニクロのマーケティング部門に異動し、同社の事業再生に着手しました。
 深瀬は、当時のユニクロの経営陣と協力して、新しい商品開発や店舗の改善などを行い、ユニクロのブランド力を高めていきました。また、彼はオンラインショッピングや海外展開などの新しい事業展開にも積極的に取り組み、ユニクロの事業拡大に大きく貢献しました。
 その後、深瀬はファーストリテイリングの取締役や、ユニクロの海外事業のトップなどを歴任し、日本を代表する実業家の一人となりました。彼は、経営において「顧客第一主義」を徹底し、商品の品質や価格、サービスの向上に注力したことが、ユニクロの成功につながったとされています。
 また、深瀬は、日本のファッション産業の発展にも貢献しました。彼が率いるユニクロは、高品質で低価格な商品を提供することで、日本のファッション産業に新しい風を吹き込み、業界全体の価格競争力を高めました。
そのように、深瀬和直は、日本のファッション産業の発展に大きく貢献した実業家であり、ユニクロの成功に不可欠な存在であったと評価されています。

「深瀬和直の来歴とその業績を教えてください。」ChatGPTの回答による。

 久保田真吾に続いて、全くかすりもしません。こちらは現代の人物にされてしまっています。もちろん、現在にない名前ではないので、同姓同名の方はおられるかもしれませんが、念のため確認したところ、ファーストリテイリング、ユニクロにはこのような名前の役員はいませんでした。

 ここまで質問してきて、いや質問が難しすぎるのではないか、とお思いの方も居られるかもしれません。では、一般的に辞書などを引いて回答を得ることが出来るような質問をしてみてはどうかと、著者も思いましたので、試してみました。質問は「大阪府選出の貴族院議員について教えてください。」としてみました。その回答が以下の通りです。

 大正時代に存在した貴族院は、皇族や貴族、知識人などが選出される身分制議院でした。大阪府選出の貴族院議員には以下のような人物がいます。
1:伊藤博文 - 明治時代の政治家で、初代内閣総理大臣を務めました。貴族院議員としても活躍し、大阪府選挙区から選ばれました。
2:久世広之 - 明治から昭和にかけて活躍した政治家で、貴族院議員としても多くの委員会に所属しました。大阪府選挙区から選ばれたこともあります。
3:吉田茂 - 戦後の首相として知られる吉田茂は、貴族院議員としても活躍しました。大阪府選挙区から選ばれ、貴族院解散まで在任しました。
4:桂太郎 - 明治から昭和にかけて活躍した政治家で、内閣総理大臣を5度務めました。貴族院議員としても活躍し、大阪府選挙区から選ばれました。
 以上は、大阪府選出の貴族院議員の一部です。他にも多くの政治家や貴族が在籍していました。

「大阪府選出の貴族院議員について教えてください。」ChatGPTの回答による。

 伊藤博文も久世広之、吉田茂、桂太郎も、誰一人大阪府選出の貴族院議員ではありません。何でしょうか、辞書的なものに掲載されているような内容のことであっても正答が得ることが出来ないようです。先の質問はWikipedeiaにも「大阪府選出の貴族院多額納税者議員」や「大阪府選出の帝国議会議員」というカテゴリーがあるので、ネットで検索しても正答を得るのにそれほど苦労はしない項目です。
 このような形で学生などがChatGPTを活用してレポートなどを執筆したりすると、どうも手痛いことになりそうです。

 今回はこのくらいにしておきまして、次回も引き続きChatGPTを活用してみた使用感について触れてみたいと思います。

いただいたサポートは、史料調査、資料の収集に充てて、論文執筆などの形で出来るだけ皆さんへ還元していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。