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『山海経』の九尾の狐は人を食べるの?

 ささやかな疑問点ですが、気になったので書き留めておきます。

『山海経』の南山経には、九尾狐についての記述があります。

 赤子のような声で鳴き、人を食べるとされていることが多いようです。

 しかし、本当に九尾狐は人を食べることになっているのでしょうか?

 原文を見ると、

 
  状狐而九尾即九尾狐
  其音如嬰児能食人食者不蠱噉其肉令人不逢妖邪之氣或曰蠱蠱毒

となっています。

 其音如嬰児 までは意見が異なることはないでしょうが、


1)能食人 食者不蠱

2)能食 人食者不蠱

 どちらに取るかで意味が変わってしまいます。

 泣き声は赤子のようであって、

1) 能く人を食す 食すは不蠱 (人を食うことができる。食べると、まどわない)

2) 食う能う 人食すは不蠱 (食用可能である。人が食べると、まどわない)


 正解はないでしょうが、九尾の狐が食べられるだけなのか、食うか食われるかなのかで、だいぶイメージが異なります。

 図は、『山海経』注釈:郭璞(晋)/画:蒋応鎬(明)(国立公文書館蔵)の九尾狐と思われる部分です。

九尾狐


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