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アクアリウム ーはじまりの話ー

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#小説

アクアリウム4

〜コンフォート世田谷 305号室〜

世田谷区の閑静な住宅街の一角に佇むマンションの一室で、両手両足を、イームスの椅子に縛り付けられている。
口にはガムテープを貼られ、声を出すことすら許されないようだ。
鼻からゆっくりと息を吸い込み、深呼吸を試みる。いささか落ち着いて、じっくり部屋の中を見渡すが、どこをどう見てもここは間違いなく退屈で平凡な、狭くも広くもない1LDKの、いつもとどこも変わらない自

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アクアリウム 2

−ちょい呑み 金次郎−
金曜のこの店は仕事帰りのサラリーマンでごった返している。ちょっと表現が古いが所謂花金ってやつに浮かれて羽目を外して呑み過ぎる客で賑わっている。
客は店名に掲げられた『ちょい呑み』とは全くもって似つかわしくない、ほとんど泥酔状態の呂律が回らなくなった中年ばかりだ。
店に設置されたテレビからは相変わらず、政治家をネチネチと批判、追求する質疑応答の様子が流れている。
些細な事をし

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アクアリウム 1

寒くもなく暑くもない小さな部屋の中で、俯いて自分の指の先を見ている。
気が付くと、もう何時間も呼吸していなかったんじゃないかと思う位に肺の辺りが重苦しく、目の前がクラクラとゆがんだ。

ゆっくりと深呼吸をする。
喉の奥に広がる少し埃っぽい乾いた空気が、今の状況は現実であるということをより鮮明にした気がして目の前が真っ暗になった。

僕はこれまで誰より真面目に生きてきた。
欲望や感情が理性の前に飛び

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