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こかん
うちの家族はくだらない下ネタが大好物である。
「うんこ」
「おちんちん」
「おしり」
といった、小学生並みの犬も食わないような下品が大好きである。
祖母は御歳92歳であるので耳がかなり遠くなっているが、
「ちんちん」とか「おまたに生えてる毛」とか、そういうワードはもれなくキャッチし、笑っている。なんでだよ。
そんな家族に育てられたわたしには、小学一年生のころの忘れられない出来事がある。
その日に学んだひらがなから始まる言葉を書いて、先生に見せるという国語の授業があった。
小学一年生のわたしは、
「こ」からはじまる3文字の言葉に、
「こかん」を選んだ。
なぜなら、童謡の「静かな湖畔の森の陰から」の「湖畔」を「こかん」と聞き間違えて6年間生きてきていたのだ。
静かな股間の森の陰から。
図らずも官能小説の1文を産んでいた。
もうカッコウも泣いている。
こかん 、と元気な字で書いたワークノートを先生に見せたところ、
「そんな言葉ありません」と、ノートを突き返されてしまった。
え?歌にあるのに??と腑に落ちないまま、しかたなく「こいぬ」に変えて提出した。
家にかえり、その事を話すと母は抱腹絶倒した。
母から、あれは「こはん」であり、「こかん」ではないこと、
「こはん」は湖のそばのことであるが、
「こかん」は「おまた」のことであることを説明された。
先生は「そんな言葉はありません」と言ったが、あるじゃん、と思った。
今思えば、先生はたぶん動揺したのだと思う。
キラキラした目で「こかん」と書いてきた6歳の女児に。
それなのに中学のころ、ませた女子達から「セックスとは」の話を聞かされた時は酷く落ち込んだ。
同じ経験のある女の子いるかな。
"こかん"は時に静かではなくなり、
森の陰から出てくることを知った。
ショックだった。
そんなわたしが数年後、大学でブタやイヌの精子を顕微鏡で観察し数をかぞえたりして、繁殖学を学んだりすることになるとは、自分でも不思議だとおもう。
気がついたら下ネタが大丈夫どころか大好きになっていた。
いつからそうなのかは分からないが、
たぶん、酒を飲めるようになってからだとおもう。こわい。
そんな最近は、口を大きく開けたらのどちんこがでかくなっていたので、
「のどちんこがでかくて面白い」
という話題で母とヒーヒー笑っていたら、ふたりとも喉が腫れた。
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