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2022年2月に読んだ本

1.ない本、あります/能登崇


送られてきた画像を使って「ない本」を作る。表紙・タイトル・著者・出版社・物語…すべてが虚構。

表紙から物語まですべてのクオリティが高くて本当に存在しそう。作者の想像力がすごい。小説のプロローグをずっと読んでいるような、SFの短編集をずっと読んでいるような、そんな感じの内容だった。星新一さんのショートショートが好きな人はぜひ読んで欲しい。

28編の中で特に面白かったのは『傾いた惑星』と『第七夏季の男』という話。

・傾いた惑星 桜望梅

主人公の鍬原耕記がある朝目覚めると、部屋が66.6度傾いていた。部屋の片付けもそこそこに外に出た鍬原が直面したのは全てが傾いた世界だった。

・第七夏季の男 大場近夏

大手食品加工会社に勤める聞部武文は「八月でこんなに暑いなら、十二月はどんだけ暑いんだろうな」というカビの生えたユーモアで周囲を困らせる課長が苦手だった。そして迎えた十二月、気温は五十度を超えた‥。
ない本あります

2.ねこのセーター/及川賢治・竹内繭子


主人公の猫はとてもテンションが低い。なまけるのが大好きで、おぎょうぎが悪くて、どんぐりに帽子をかふませるのが仕事。そんな猫さんの話。
いいな、どんぐりに帽子をかぶせる仕事。私もそれしたい。主人公の猫さんは3つほど帽子をかぶせたところで飽きていた。かわいい。
寝る時は着ていたセーターを床に脱ぎ捨てて、裸で寝るのもかわいい。

3.わたしを空腹にしないほうがいい/くどうれいん


盛岡の歌人・くどうれいんさんの食をめぐる記録。日記という枠をぴょんっと飛び越えて、過去と現在を行き来しながら自由に綴られている。

人は、ひとつの不幸には耐えられるが、同時にふたつの不幸を抱えると身体をこわす
わたしを空腹にしないほうがいい

くどうさんは2つめの悩みを抱えた途端、何も食べられなくなったらしい。私もいま仕事もプライベートも最悪な状態。とりあえず次の地獄に備えて美味いもの食べて慎ましく生きる。
そういえばこの前適当に作った天津飯が美味しくできて嬉しかったな。些細なことに幸せ感じるタイプで良かった。

4.うたうおばけ/くどうれいん


くどうれいんさんの個性的な友人が登場するエッセイ集。あとがきの言葉に共感した。

生活は死ぬまで続く長い実話。そう思うと、どんな些細なことでも書き溜めておきたくなります。
うたうおばけ

私も毎日日記を書いたり、ブログをやったりと、些細なことを書き留める人だから。しばらく経ってから読み返すのが面白い。このエッセイ集で好きだったのは、暗号でしか告白できないスズキくんの話。

エッセイを読んで、くどうれいんさんは生きるのに全力な人なんだなって思った。私もそうなりたい。

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