虫の鳴く声
退勤。
退勤とは大抵の場合
やることが終わって帰るわけではない。
頭がだんだんと回らなくなって
もう帰らざるをえないだけ。
パラパラと帰り道を歩く人。
みんなそれぞれ今日も働いて
どこかに帰って行くと思うと
働くってなんなんだろうなと頭の中に浮かぶ。
答えは求めない。
考えるエネルギーはもうない。
りりっ
歩道の横、左足の隣、
草むらから虫の声が聞こえた
鈴虫かしら
どうだろう、、
途端
虫の声が広がる。
向こうにも、、向こうにも、、
流れ星が降ってきたみたいに
虫の声はあちらこちらの草の中に降り立った。
虫の声に包まれる。
帰り道の人と車はもう見えない。
たしかにここにあるのは、草と星と虫の声。
いつからか、秋だったのかもしれない。
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