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花束

花束を持って帰る男子高校生。

その姿を見て胸がきゅんとなった私は、
花束の送り先を勝手に妄想する。

今日は言うまでもなく母の日ではない。
しかし、一輪、二輪の花ではなく束の花を贈るようだ。
なにか人生において、そして彼にとって
大切な日に違いない。

交際している相手にでも贈るのだろうか。
とは言っても制服を着ており、まだどこか幼さの残る高校生だ。
プロポーズにしては早いだろう。

お相手の誕生日に贈るぐらいに考えた方がまだ無難だ。
にしても、誕生日に花束を贈るなんて粋すぎる高校生だ。
きっと花言葉をネットで必死に調べ、
自分の思いを花に仮託したに違いない。

私はそういうの嫌いじゃないぞ。

兎にも角にも、その花束がとても綺麗だった。
その花束を持っていた彼がとても眩しかった。
鮮やかで、健気で、若々しくて、凛々しくて。

無事に贈り届けることができますようにと願いながら、
私はベランダで一人微笑むのであった。

#創作大賞2023 #エッセイ部門 #日記 #妄想 #妄想日記 #花束


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