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珈琲西部にて  《翠曜日》vol.1

珈琲西武にて



この空間に溢れるレトロは、本物っぽくてとてもいい。タバコの匂いはしないのに。

働いているおじさまたちがなんせ本当におじさんなんだもの。

お客さんは若い人もたくさんいてさまざまだけど、私が一人でいて緊張しないのは、適度な薄暗さと、ゆとりのある広さのおかげだろうか。

中身説明する気ある?って思うこのメニュー表も、なぜか落ち着く。

(あ、でも実はちょっとだけ緊張している、なぜならあと40分で出なくてはいけないのにこんな素敵な喫茶店に来てしまったから。せっかくならゆっくり食べたいよー早く来ないかなオムライス…)(と思ってたら来た。はっや。まだ数行しか書いてなかったのに!)



美味しいオムライスを堪能し終えた頃には私はさらにこの空間が好きになっていた。


まず、唐突に鳴り響くは黒電話の音。

本物の音なんて初めて聞いたかもしれない。

どこまでも本物っぽいなーこれもマーケティングか?とか思うのは邪心だよな、素直に楽しめってば私。


あ、また鳴った。

ふふん。

楽しい。

あと、各席に呼び出し鈴がなくて、さらに従業員さんは見た目頼りないおじいさんともう少し話が通じそうなおじさんと、ちょっと暗い雰囲気の若い女の子の3人しかいないもんだから、みんな大袈裟に「すみませーん!」と呼ぶ。


居酒屋でもないのに、大きく手を挙げて注文する様子も含めて、やっぱり本物の昭和っぽいな~。
昭和のこと何も知らないのに。
やるなあ珈琲西武、お気に入りの空間になったよ。


もう一つ私がこの場を楽しんでいる理由



ああなんといっても隣のカップルが尊い!


一生なぞなぞみたいなクイズやってるし、

古着屋勤務してるらしい下北系男子と、金髪ボブ地雷(?というかメイド?)…とりあえず脚が細い厚底系の女の子っていう組み合わせのアンバランスさと、

見た目のイメージより会話が可愛らしいのと、

何より頼んだサンドウィッチが届いた時に、二人とも同時に手を合わせて「いただきます」っていってたのがもう本当に好き。

大きな喫茶店の角の席だけど、この人たちが隣で良かった~可愛い。

私もそろそろお店出たいんだけど、向こうが先に出る雰囲気だから待つよ。

予定の電車まで残り15分。

うん、10分あれば大丈夫でしょ。


彼女がトイレに行ってる間も、ずーっとスマホ見てるんじゃなくて机の整理整頓ができるチャラ下北。

やるなあ〜〜〜



喫茶店はギャップの宝庫、落ち着きと喧騒のはざま。


楽しい時間だった!



あんなこんなを記録して、ちゃーんとしたためる習慣をつけたい20歳大学生による連載


《翠曜日》



始まります。(連載って言いたいだけ)


2023.06.14


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