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【全文無料】『最近の学び』vol.1 小野寺ひかり

今月のSugmoriの企画記事は #最近の学び です。
Sugomoriのメンバーには、最近どんな学びがあったのか!?
トップバッターはいつもハッとさせられる小説を書く小野寺ひかりさんです。

 シェア本棚を通じて、本棚オーナーを始めた。いわゆる一箱の本屋さん。場所は、長野県・茅野駅直通のビル内にある「まちライブラリー@My Book Station 茅野駅」だ。私は「ひかり堂」の店主になる。
 茅野市は南アルプスの山々が連なり、八ヶ岳登山でも有名で、蓼科の別荘地帯と蓼科湖周辺のバーベキューエリア。また「縄文のビーナス」と呼ばれる土偶発見の地として、縄文文化で町おこし、と、さまざまな顔を持つ。地縁と言えば隣の諏訪市に義両親の実家があり、帰省の道のりで土地勘があったこと。
 2020年頭、たまたま「まちライブラリー」で茅野駅にシェア本棚の構想を聞いた。都内にもいくつか拠点はあるものの、何より“ブック・ツーリズム”の概念が新しい。
 コロナの影響もあり、しばらく企画は見送りかと思われたが、鉄は熱いうちに打て、とばかりに、もともと縁のあったワークラボ八ヶ岳さんのフリースペース内で開設が決まったのは、もはや奇跡というか力技ともいうか。
 2020年10月からプレオープンをし、正式に2020年12月から運用が始まった。地元の新聞社にも取材にきてもらうだけでなく、それを見た方が足を運んでくれるなどしっかり受け入れてもらえている実感できてうれしい。実は本棚オーナーでありながら、運営としても立ち動いている。(もちろん本棚の店賃は自腹だよ!)
 本棚オーナー会員も数組から徐々に増えている。直接対面で話す機会は多くないのだけれど、老若男女、誰にも共通して「本好き」の雰囲気をまとっていた。きっと話が合うだろう直感が奮起にも繋がるし、頼もしくもある。あえてコロナ禍でなければ、というなら。東京の友人も、茅野の新しい知人も、本好き同士のゆっくりとした語らいができただろう。
 今は週1度、現地へ赴いて、本や本棚の運営、管理している。それって何?てことはまた別の機会に語ることにして、誰とリアルでメッセージを伝えあう大切さを学んでいる。
 どこにいても本好きはいるし、本棚を通じてそんな人たちと時間や場を共有していると感じる。ささいなことで言えば、入れ替えた本が貸出されたり売れていたりする。誰かがそのメッセージを受け取ってくれたのだと、気づいておっ、と嬉しくなる。
本棚オーナーをはじめて、もうすぐ二カ月が経つ。先日も「ひかり堂」から1冊、本が売れていて、ひょっ!と声をあげた。本屋でメッセージを受ける誰かが、メッセージを発信する誰かが、少しずつ増えていってくれたら。希望的観測を続けている。(おわり)

小野寺さんの1月号で掲載された小説はこちら!
3月には最新作が登場します。お楽しみに〜♪

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