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【全編無料】制作インタビュー『ふくだりょうこ 今日もお高いキミがスキ』

Sugomoriを読者には、自分で小説を書いているor書いてみたいという方も多いのでは?9月号特集では、各ライターにどんな風に制作しているのかインタビューしました。全員商業で活躍しているメンバーではありますが、皆さんの身近なライターがこんなこと考えながら書いているんだなと〜何かの参考にしていただければ幸いです。

第2回インタビューに登場してくれるのは、Sugomoriの頼れるリーダーふくださんです!

大阪府出身。大学卒業後、2005年よりフリーランスのライターとして活動をスタートさせる。ゲームシナリオのほか、マンガやドラマレビュー、家族に関するコラムを中心に執筆。暗い小説を書くことが多いがコメディも書けるようになりたい。夫とたれ耳のうさぎと暮らしている。

創刊号から9月号にかけて、ちょっと艶っぽくて先が読めない『今日もお高いキミがスキ』シリーズを連載しています。Sugomoriって、同じシリーズを続ける派と毎回単発派といつの間にか2派に分かれていますね。でも、みんな臆さず書きたいことを書いているのが頼もしい。インタビュー後半では、ふくださんの執筆トレーニング方法を紹介しています(私もリアルに取り入れようと思った……!)

Q.このシリーズの着想をどこから思いついたのか教えてください。

A. 実はこれ、着想は「かぐや姫」なんです。「主人公のサツキがいろんな男性に言い寄られ、叶えてくれた人と結婚する」というのがストーリー全体の主軸になっています。

Q.まさか、着想が「かぐや姫」から来ているとは思いませんでした。言われてみれば確かに主軸はそうなっていますけれど、様相は全く異なりますよね。

A.あくまでも着想は、ということです。基本的に王道やベタが好きなんですが、ベタをベタのまま書いてもおもしろみがないかな、と、一度何かを思い付いたらその話の中で当然だと思う前提を一度ひっくり返すようにしています。私も前にお仕事ご一緒させていただいた脚本家さんから教わった方法なんですけど。
このお話であればベタじゃないかぐや姫ってなんだろう、どこをひっくり返したら異なる面白さが生まれるだろうと考えました。普段プロットを練る時でも、驚くはずのことが笑いに変わったり、笑うはずのことが怒りに変わったりしたらどういう展開になるだろうと、違う可能性を考えることを大事にしています。

Q.前提をひっくり返す、ってとても興味深い方法ですね。例えば、この話の中ではどういう点をひっくり返したのか、ネタバレにならない程度に教えていただいてもいいですか?

A. ネタバレにならないようにするって難しいですね(笑)。1話目であれば、いわゆるかぐや姫で言う求婚者のハジメくんは、望み通りのものを買ってきた……と思いきや。さてその後どうなる?と言う展開のあたりですかね。2話目であれば、カズミくんは望み通りの物を手に入れることができそうにない稼げない若者なんですけど……そう思いきや、と言うあたりでしょうか。
お話の冒頭部分とラストを決めたつもりが、書き出してみるとけっこう行き当たりばったりで展開が変わったりしてしまうこともあります。それはそのまま、楽しみながら書いています。

Q.キャラクターが自然と動いてくれる感じでしょうか?

A.「キャラクターが自然と動く」とか「キャラクターが勝手に動き出す」とかってかっこいいですね……!メチャメチャ売れてる人しか言っちゃいけないような気がするんですが(笑)。でも、普段私たち商業ライターって、世界観だったりプロットだったりは版元さんから指定されて、仕様の中でお話を作ることが多いですよね。それはそれでやりがいがあるんですけれど、Sugomoriは自由に書きたいことを書ける場なので最大限楽しもうと思っています。

Q.私もその点は本当に楽しませてもらっています。自由に創作するにあたって、テーマを決める時にいつもすることはありますか?

A. そうは言っても、0を1にする作業って大変なパワーが必要で、訓練が必要だと常々思います。昔は毎日1,000文字の小説を書く練習をしていて、itunesで曲をシャッフルして1曲目に流れた曲をネタにしていました。

Q.そんな練習の方法があるんですね!最近では音楽ユニットYOASOBIさんが、小説から着想を得て曲作りをすると言う逆のパターンの創作も話題になりましたね。

A. ジャンルは違っても、産みの苦しみは一緒ということかもしれませんね。ただ、この方法だと自分の聞く曲の傾向に引っ張られるという難点があるかもしれません。私の聞く曲は基本的に暗いので……(笑)。
他の方法では、気になるドラマの設定の何かを変えてみたらどんな話になるかという練習もやっていたことがあります。
全般的に言えるのは、普段からネタのストックを増やしておくことがとても大事だということですかね。商業ライターをやる上でも、こうして自由な創作の場で何かを書く上でも役に立ちます。

Q.話はSugomoriの連載に戻りますが、何かこのお話の中で特に工夫した部分はありますか?

A. このお話では、実は無料部分は普通の恋愛小説で、有料部分を読むと様相の異なる話にしようと思っています。noteは自分で一つのお話の中で無料・有料が選べるという仕様なので、お話の中で生かしているつもりです。ぜひ読者の皆さんに「蓋を開けてみたらこんなお話!」という驚きを味わっていただきたいです。

Q.言われてみれば確かに!

A.何回目かで力尽きて破綻したらどうしよう……。でも、頑張ります(笑)!

取材/文 誠樹ナオ

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