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【全編無料】制作インタビュー『中馬さりの ポワブロン殺人事件』

Sugomoriを読んでくださる方の中には、自分で小説を書いているor書いてみたいという方も多いのでは?9月号特集では、各ライターにどんな風に制作しているのかインタビューしました。

全員商業で活躍しているメンバーではありますが、皆さんの身近なライターがこんなこと考えながら書いているんだなと〜何かの参考にしていただければ幸いです。

第1回目のインタビューに登場してくれるのは、8月から新しくSugomoriに加わってくれた中馬さりのさん。

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ミステリー狂い、サスペンス大好き、好きなタイプはモリアーティ教授です!普段は旅暮らしをしつつ、地方の観光名所を紹介する取材記事や、Webでフィクションのお話を書かせてもらっています。sugomoriは美味しい旬の食材がテーマなのに、がっつりミステリーの道具に使っちゃって「どうしようこれ……どう収集付けよう……」と絶望しています!もうプロフィールも本音もぶっこみました……

本音がぶっこまれたプロフィールの通り、8月~9月号にかけてSugimori異色のミステリーを連載してくれました。

Q.ポワブロン殺人事件、食材を使ったミステリーという着想がとても面白かったです。どこからこういった話を思いつきましたか?

A. 元々推理小説が大好きで、自由に書いていいならミステリーを書こうと思っていましたが、Sugomoriは「旬の食材」という爽やかなテーマだし、文芸誌のカラー的に殺人っていいの……?と最初は戸惑いがありました。でも、メンバーの皆に相談したら、どんどんやっちゃえって感じでしたし、特にリーダーのふくださんに「食材で殴り殺してもOK!」という力強い言葉をもらったので(笑)、この方向性で行こうと決めました。

Q.「書きたいことを書く」のがSugomoriのポリシーですもんね〜。ミステリーって構成が難しいと思うのですが、どういう順番で考えるんでしょうか?トリック?キャラクター?はたまた殺害方法など……?

A. Sugomoriが「旬の食材」がテーマなので、まず殺害方法を決めました。まずは食材を使った犯罪ということで、順当に毒殺かな〜と。

Q.順当に毒殺。すごい響きだ(笑)。

A.でも、今後は他の殺害方法にもチャレンジしてみたいと思います。本当に食材で殴り殺すとかもアリかもしれません(笑)。でも、そういう縛りがなければ、自分がミステリー書くときは大抵の場合、動機から決めて書いてます。

Q.動機からですか。その心は?

A.自分がミステリーを読んでいて「こんな理由で人を殺したりなんかしないでしょ」みたな展開が苦手なんです。いくら事件のトリックがよくできていても、そういう犯罪に至った人間ドラマに寄り添えない話はイヤなんですね。「こんな恨む、これで!?」というような読後感を残すのは絶対に避けたいです。悪役には悪役なりの正義があるよね、と感じられる話にしたいです(出来ているとは言っていない汗)。

Q.それでは、キャラクターの着想としてはまず「犯人」から考えるってことになるんですかね?

A. そうですね。今回の場合は、殺害方法を決めて、その殺害方法が似合う状況を決めて、状況を決めるのと同時くらいに犯人を決めました。今回の犯人は、もう料理人しかあり得ないよなってなったので、そのまま素直に。そして、その後、この犯人と対峙するのにふさわしいキャラクターを構築するって意味で、探偵役の御剣(ミツルギ)を決めました。

Q. 御剣(ミツルギ)のキャラクター濃いですよね。

A.犯人に執着すると同時に、犯人も御剣に執着するような関係性がいいなと思って。犯人と何処か理解し合える部分がある探偵役にしたかったんです。私、アガサ・クリスティが大好きなので、ポアロから口調をもらったり、※安楽椅子探偵(アームチェア・ディテクティブ)の構成はミス・マープルからもらったり。あと、偏屈なキャラクターが多いのもアガサ・クリスティのオマージュかもしれません。
Sugomoriに寄稿するってことは、特段ミステリーを愛好していない人も読者になるので、探偵と同じ目線で謎解きを楽しめるシリーズにしたいなと思っています。文中の人物だけが何かの手がかりを掴んでいて、解決編で「おいおいおい、そんな材料あるなら言ってよ!」ってならないようにしたいですね。

Q.ごめん、失礼かもしれないけど、自然に書いてるようですごく理論的でびっくりした(笑)。

A. 私も自分で言っててビックリしました(爆)。読んでて全然できてないじゃんとか思われたらどうしよう。あとは、食材縛りがあるのでネタ切れが怖いですが、御剣シリーズとして続ける予定なので、どうか応援よろしくお願いいたします!

取材・文/誠樹ナオ

※ 安楽椅子探偵(あんらくいすたんてい、アームチェア・ディテクティブ、Armchair Detective)とは、ミステリ用語。 現場に赴くなどして自ら能動的に情報を収集することはせずに、室内にいたままで、来訪者や新聞記事などから与えられた情報のみを頼りに事件を推理する探偵、あるいはそのような趣旨の作品を指す。

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