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宮城の寒梅酒造の取り組みがすごい|コロナ対応

今月は、「酒類」に関するニュースを毎日のように見た気がする。個人的には、特に宮城県大崎市の宮寒梅こと寒梅酒造の動きに目が離せなかった。

つい一昨日、セキュリテのファンドニュースで、アルコール分58%の高濃度アルコール商品「MIYACLEAN58」の一般販売を4月30日から行うというお知らせを目にしたと思ったら、それが昨日は、日経新聞の記事にもなっていた。

■2020年4月22日セキュリテのファンドニュース
【寒梅酒造】高濃度アルコール「MIYACLEAN58」300ml 商品ご案内

■2020年4月23日日経新聞

通常は、消毒用アルコールをつくるには、薬事法で定めた製造許可が必要であるところ、酒造会社がお酒を作る分には問題がないということで、既存の製造設備等を活用して、急遽つくった商品だ。

寒梅酒造では、まず医療施設・高齢者施設・介護施設・教育機関等に限定の商品として、アルコール分73%の「MIYACLEAN73」を製造。73%という濃度は、厚生労働省が定める医療用の消毒用アルコールの水準を満たすものであり、病院などへ販売するほか、大崎市内の小中学校の全約500クラスに寄贈するとのこと。

一方、一般販売用の「MIYACLEAN58」は、ご家庭で、アルコール消毒液の代替品として、手指の消毒や容器を詰め替えてスプレーとして使うなどの使用が可能で、グリセリンも入っている分、手に少しはやさしそうだ。もちろん飲むことも可能だ。

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しかし、これだけではない。実は今日ご紹介したいのは、むしろこちらの取り組みだ。

国税庁は、2020年4月9日、新型コロナウィルスの影響を受けている飲食店への救済措置として、飲食店がお酒のテイクアウトにも対応できるよう、「期限付酒類小売業免許」を付与すると発表した。私がこのニュースを始めに見たのは、確か南部美人の久慈社長のツイートだったと思う。

そして、なんとそのわずか4日後には、寒梅酒造は飲食店向けにプラカップ2個とテイクアウト用バック1枚をセットにした「お持ち帰り専用の日本酒」を販売開始したのだ。驚くべきスピード感である。

(以下、Facebookの投稿より一部引用)

【日本酒のお持ち帰りで、飲食店を支えませんか】
寒梅酒造 飲食店限定 応援酒 
「一助(いちじょ)の酔い(よい)」を発売します。

(略)そのような中で、日頃大変お世話になっている宮城県内の飲食店様もとても大変な状況が続いています。
店内での飲食が難しく、お料理のテイクアウトが多くなっている今、私たち寒梅酒造も日本酒を通じ何か出来ないかと模索してきました。

「飲食店様でのテイクアウト時に、日本酒瓶からカップに注いで持ち帰る」
寒梅酒造にて、「一助の酔い」をご購入いただきました飲食店様に、テイクアウトの周知拡大、販促に利用していただきたいという想いを込めて、
・「一助の酔い」オリジナルプラカップ (一升瓶につき10個)
・テイクアウト用カップホルダー(一升瓶につき5個)
・店舗販促用ポスター
無償提供させていただきます。

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そして、きっちり河北新報やテレビニュースでも取り上げられていた。さすがとしかいいようがない。

これらの取り組みについて、寒梅酒造の岩崎真奈さんに聞くことができた。

「コロナの影響で飲食店でお酒が全然売れなくなった。まずは何とか飲食店が抱える在庫を売り切るお手伝いをしようと思った。テイクアウトができるようになっても、まだやり方が分からない人もいる。こういうカップやホルダーは、誰でも簡単に真似することができるから、最初に見せることであとは全国に広まっていけばいい」

寒梅酒造はこのカップやホルダーをほぼ原価で酒販店や飲食店に卸しており、実際、中には日本酒は無しで、カップやホルダーだけのお問い合わせもあるという。

いずれの商品も、アイディアの着想を得てから販売開始までの時間が短いが、特にこの商品については本当に数日間でつくったそうだ。

自社の売上も下がっている中で、自社の資源を生かしながら、真っ先に地域や取引先に貢献してく姿勢に、私はとても刺激を受けた。

コロナの後に生き残るのは、こういう会社なんだろうな。

#COMEMO #NIKKEI




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