爆速小説出版ハッカソン、ノベルジャムにデザイナーで参加しよう
いよいよ始まったノベルジャム2019の参加者募集。このイベントに「デザイナー」で参加を検討している方の不安を払拭すべく自分の知っている事を書きます。書いている人は前回参加のデザイナー、今回は運営側でサポートするsugiura.sです。
どんなイベントか
著者、編集、デザイナーがチームを組み、超短期間(今回2019は2日間)で短編小説を執筆し、編集し、表紙のデザインをつけて電子書籍として出版までする、いわば「小説と出版のハッカソン」です。今回で4回目を数えます。
このイベントの面白いところは「ハッカソン」としての短期集中制作フェーズと「販売」まで含めたプロモーションフェーズの二部構成になっているところです。文芸作品は書いて終わりではありません。訴求力の高い表紙で興味を促し、たくさん買ってもらうためのプロモーションを仕掛けて行かねばなりません。
そこまで含んで「編集」と「デザイナー」をチームに組み入れた、いわばミニ独立出版社のフォーマットで出版という大海に挑むのがこのイベント、ノベルジャムの特徴なのです。
チームにおけるデザイナーの役割
肩書きはデザイナーですが「職業デザイナー」である必要はありません。チームの中で「デザインする人」というロールと考えてください。イベントの全体像は公式サイトを見ていただくとして、さてデザイナーは何をすれば良いのか。
最低限必要なこと
電子書籍としてチームで公開する2作品の表紙デザインを制限時間内に完成させる。
できればやってほしいこと(必須ではないですが)
販売開始後のプロモーションのクリエイティブ面でのサポート。
特に販促フェーズのデザインについては、編集と協議しながらチラシが必要ならチラシのデザインを、LPが必要ならLPのデザインを、バナーが必要なら、グッズが必要なら、、、etc、と、デザインが必要な局面は多いです。もちろん必須ではないしチームの方針、デザイナーの都合もあるので「ねばならぬ」と言ったわけではありませんが、できる範囲でやった方が確実に面白いです。
小説とデザインの関係が新しい
一般の出版文化ではある程度原稿が上がってからデザイナーに表紙の発注が行くのですがノベルジャムでは同時進行です。著者と編集が種を作った世界観のアイディアを視覚化して作品世界を「執筆中に」深めて行くことができます。つまりグラフィックの力で執筆中の作品に手出しできるという、稀有な状況が発生します。このジャムセッションならではの化学反応も、ノベルジャムデザインの魅力です。
具体的に完成させるもの
電子出版サービスBCCKS(このサービスを使ってパブリッシングを行います)の指定サイズ W 1,447px H 2,051px の表紙画像をJPG形式で2点。
可能なら裏表紙まで仕掛けのあるデザインであればデザイン評価が上がる可能性がありますから、ぜひトライしてほしいと思います。
必要なもの
最低限、表紙画像が作れる機材が必要です。スマホの画像編集アプリでも可能と思いますがBCCKSでの編集もあるのでノートPCがあれば無難です。グラフィック向きのタブレット端末もアリです。アプリケーションは普段使い慣れたものを、手書き中心で本格的なレイアウトソフトをお持ちでない方は、期間中にAdobeCCの体験版をインストールするのも手ですし、GIMPなどを導入し準備期間に慣れておくのも良いと思います。
授賞について
前回大会までデザインを主な評価基準とする審査委員賞がありましたが、今回はデザイン審査団による合議で授賞を行います。というのも、電子書籍のデザインは「ECチャネルを意識した情報設計、訴求力」「書籍としての品質感」「アートとしてのインパクト」など評価軸が多いのです。ゆえに今回はプロのエディトリアルデザイナーはじめ芸術学部の大学教授など複数の目で多角的な評価を行います。
特に学生の方、自分のデザインがプロに評価されるのは厳しい反面、得難い機会でもあるのでぜひチャレンジしてほしいと願っています。
ぶっちゃけ「いいこと」はあるか
出版人、プロ作家、他業種のデザイナー、その他無茶に面白いことをやっているクレイジーな人々と知遇を得ることができます。フリーランスの方は人脈形成の契機になるかもしれませんし、そうでなくとも異界のクリエイターたちと友達になるのはデザイナーにとって大きな喜びと思います。
さて、これだけ好条件が揃って、受賞のチャンスがあり販売される本にはデザイナーとしての印税もついて参加費12,000円。むちゃくちゃ安いと思いますので、ちょっとでも興味がある人はぜひエントリーしてください!チャレンジチャレンジ!
ちなみに
自分が過去ノベルジャムで制作した、またノベルジャムで知遇を得た方々の依頼で作成した電子書籍の表紙を晒します。
1年半前、ノベルジャムに参加するまで書籍デザインをしたことのなかった、プロのブックデザイナーではないフツーのデザイナーの作品ですが、編集者や作家の熱量に牽引されデザイン的にも深い学びを得ることができました。
デザイナー、に限らず、書籍のデザインでチャレンジしたい方はぜひエントリーを!
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