見出し画像

歌とラグビー:ラグビーワールドカップのたのしみ方 番外編(2)

 イングランド戦の直前ですが、先日のウォークライに続いてちょっと軽めの話を。

 それは「歌」です。


大会テーマ曲「ワールド・イン・ユニオン」

 まず、ラグビーワールドカップには、前大会を通じたテーマソングがあります。それが「ワールド・イン・ユニオン」という曲です。ホルストの「木星」が原曲の美しいメロディで、歌詞が付けられたものです。大会ごとに、男声合唱団が歌うこともあれば、女性歌手が歌うこともあります。

 日本開催の2019年大会では、ほとんどテレビで流されることはありませんでしたが、いきものがかりの吉岡聖恵が歌った曲がちゃんとリリースされています。

 開会式、見に行ったのですが、このワールド・イン・ユニオンが流れたときは、スタンドで歌いながら(歌うつもりで歌詞を印刷して持って行ってたんです)、涙が出てきてしまいました。

 あとは国ごとに応援歌のような歌があります。

イングランド「スウィング・ロー」

 有名なのはイングランドの「スウィング・ロウ(Swing Low)」。

 いい場面になったら、「Swing Low, Sweet Chariot, Coming for to carry me home」というサビの部分を繰り返し歌います。スタンドのいろんな場所から文字通り自然発生的に歌が響いてきます。2019年の決勝戦、見に行ってましたがまさにそんな感じでした。一緒に歌いもしました。

ハカとも張り合うアイルランドの「フィールド・オブ・アセンライ」

 歌と言ったらアイルランドは外せません。ラグビーにおけるアイルランドは、イギリスの北アイルランドとアイルランド共和国の連合チームです。サッカーでは、北アイルランドとアイルランド共和国は別のチームですから、スポーツによって扱いが違うわけです。というわけで、試合開始前の歌は「国歌」ではなく「ラグビーアンセム」とされます。

 アイルランドのラグビーアンセムは、勇壮なメロディの「アイルランズ・コール(Ireland's Call)」です。


 2019年大会では、アイルランドの試合を3試合見たのですが、そのすべてでアイルランドから来たサポーターたちと一緒に歌いました。エコパでブレイブブロッサムズがアイルランドを破ったあと、電車の中でアイルランドサポーターと一緒に歌ったのはいい思い出です。

 アイルランドにはもう1つ大事な歌があります。「フィールド・オブ・アセンライ(The Field of Athenry)」というしっとりした美しいメロディの歌です。「アイルランズ・コール」があくまでアンセムなのに対し、「フィールド・オブ・アセンライ」は「スウィング・ロウ」同様に試合中に歌う歌です。

「Low lie the fields of Athenry. Where once we watched the small free birds fly.」

 というサビの部分だけを盛り上げたい場面で歌います。これも自然発生的にスタンドのそこかしこから聞こえてきます。イングランドとアイルランドの歴史的な関係を反映した重い歌でもあります。

 有名なのは2019年大会準々決勝のニュージーランド対アイルランド戦、試合前のハカに対抗してアイルランドサポーターが声を張り上げて歌った場面です。

 この試合も見に行っていたのですが、ハカを聴きたい観客が「シー」って言うのを完全に無視し、ハカの声が全く聞こえなくなるくらい、アイルランドサポーターたちがスタンドで合唱してました。

スコットランドと言えば!

 スコットランドのバグパイプも書かないわけにはいきません。スコットランドの試合では、バグパイプを持ち込んでスタジアムで演奏するスコットランドサポーターが少なからずいるのです。「楽器の持ち込みは禁止されているのでは?」とも思うのですが(笑)。

 彼らが演奏するのは、「スコットランド・ザ・ブレイブ」かラグビーアンセムの「フラワー・オブ・スコットランド」です。

 これもまた2019年大会ですが、プール戦の最終戦の日本対スコットランド戦で日本が勝利したあと、歓喜に沸くスタジアムの中に響くバグパイプの音色の美しさは忘れないでしょう。

 試合後に、バグパイプをしまうスコットランドサポーターから、「これはもういらないから持って行ってくれ」と寂しげな言葉とともに渡されたスコットランドの応援旗は、今も手元にあります。いつの日か、スコットランドでラグビー観戦するときに持って行こうと思って。


こういう歌はどこで聴ける?

 ここに上げた歌はこのアルバムに入ってます。ご興味お持ちいただけたらぜひ。


ブレイブブロッサムズは?

 ところで、ブレイブブロッサムズの応援歌は?

 それがないのです。

 2019年大会では、ハーフタイムに「スイートキャロライン」とか「カントリーロード」が流れ、観客も一緒に歌いましたが、それはあくまで試合を盛り上げるためのもので応援する歌ではありません。

 何かいい歌はないか?とはみんな考えていて、2019年大会の時、カントリーロードの替え歌「ビクトリーロード」を選手たちが歌っていたので、「スタンドでそれを歌おう」という動きがありました。スタンドで歌詞が配られたりもしましたが、あまりはやらずに立ち消えに。


 こういう歌、伴奏がなくても歌える歌でなければならなくて、しかもみなが知っているとなるとなかなか難しいものです。私なんかは、1998年サッカーワールドカップフランス大会予選の時にスタンドで歌われていた「翼をください」でいいと思うのですけれど。

 この点、現地遠征組でもいろいろ考えられているようです。

 そして、長渕剛の「とんぼ」で行こう!ということになっているようです。「スウィング・ロウ」に負けるな!!頑張れ!!

 なお、選手たちが作ったチームソングはあります。勝ったあとで歌うとされ、チリ戦の後で歌われてます。


「情熱的で感動的な国歌」

 最後に、Jスポがまとめた「情熱的で感動的な国歌」特集を。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?