ウィズコロナ時代の人事と採用
不可逆な変化が1日1日。
じわりじわりと進行していて、どこまでいくのかが先の見えない霧に締め付けられるような感じがあります。
コロナが落ち着いたら、リモートが推奨が終わったら、なんて話も耳にしますが、はたしてそれはいつのことになるのか・・・。
アフターコロナはまだ先で、ウィズコロナの時代がしばらく続いていく中で、企業も変化適応しなければいけない。
特に大企業はどのような適応が求められるのでしょうか?
もはやVUCAと言われなくても
今年の4月に入社される新卒の方々はいま本当に大変な境遇に置かれていると思います。
この世代の方々が思春期を迎える頃。
そこにはTwitterやInstagramやYoutubeがありました。SNSに囲まれる中、数十年に一度レベルの災害(東日本大震災をはじめ、度重なる地震、そして昨年も猛威を振るった台風など)、世界規模の不安定(リーマンショックやISなど)が重なりました。
どの時代にも大変なこと、歴史の節目もあったと思います。
その中で今の20代前半の世代が特徴的なのは、経済的な成長が無い中で、SNSで真偽が混じる過剰な情報と、多様な価値観が織り交ざる世界を生きてきたこと。
極めつけは災害と世界的な規模の不安定の掛け算、コロナショック。
大人にわざわざVUCAな世界だから、と言われるまでもなく、その肌感覚がある世代なのだと感じます。
不安定な中の「安定」
このような世界を生きてきた中で、社会にでる。
不安×不安定の掛け合わせの結果、足場の「安定」を求める思考になるのはよく理解できます。
ただし、その「安定」は終身雇用型の安定ではないということを、企業人事はどこまで理解できるか。
「安定」とはエンプロイアビリティが強化されることであり、雇用の保証ではないということです。
そもそも企業は雇用の保証を長期的に約束することはもはやできないです。しても嘘になってしまいます。
一方で報道では学生が安定志向、大企業志向に回帰しているという伝え方をされています。それを、大企業が呑気に大企業回帰だと捉えて構えていたら、それこそ大企業自身がぶっ倒れます。
ウィズコロナ時代に人事がやるべきこと
間違いなくアフターコロナで「変化する世界」に向けて、今のうちから変化適応していくことです。
特に大企業が提供しなければならないのは、「短期目線での機会づくり」と、「社内キャリアの柔軟性」の2点だと思ってます。
新卒~30歳前後くらいの層に対して、特に大事に。
この状況下で、5年頑張れば~、10年頑張れば~、なんてロジックは通用しようがありません。
単純にハイリスクローリターンの投資に感じられてしまいます。
短期目線での機会づくり
頑張れば、2~3年での「成長実感」と「市場価値の向上」を得られる。
それだけの機会があるということの重要性がめちゃくちゃ上がっていきます。
「成長実感」につながる機会というのは単純に業務としての機会もありますが、承認機会、自主的な選択機会など、内的キャリア観に紐づくものも当然含みます。
「市場価値の向上」につながるというのも大事で、組織が大きいと内部の力学による評価に寄りがち。
ここを社外に目を向けられるか。
実は個人の視点では既に進んでいるんですよね。
新卒で入社した方々に話を聞くと、社会人になったタイミングで転職サイトに登録していたりします。
それは辞める準備というよりも、情報を得るため。
当然ながら、人事側がその実態を理解せずに、社内の力学でだけ話をしていると、どんどんエンゲージメントは下がっていきます。
社内キャリアの柔軟性
上記の機会にもつながるんですが、成長実感を得るために、市場価値向上につながるためには一本の道でいけるとは限りません。
特に採用人数が多い、配属先となるポジションが多岐にわたるような場合、いきなりポテンシャル採用された人材がベストな配置になるとは限りません。
だからこそ、可能性を探るための社内複業や、そこでよりよいマッチングが掛かれば異動するような柔軟性が求められていきます。
実現のためには属人的な仕事が標準化されることが前提です。
また、官僚的な承認フローの簡素化されなければなりません。(都度、手間がかかっていたら実現できないので)
その上で、個々人の付加価値に成果を求められるようになります。
人によっては既得権益を奪われるように感じるかもしれません。厳しい世界になっていくように感じるかもしれません。
ですが、これは外的要因による半ば強制的なルールチェンジでもあります。
ルール実行のために、デジタル化(デジタルトランスフォーメーション)もようやく進んでいくことになると思います。
これまでは、先進企業がやっていたような取り組みが、むしろやらなければ変化に取り残されて絶滅していく。
そのような世界になるのではないでしょうか。
ルールチェンジによって高まる「相対的シニア層」の価値
大企業のマジョリティは「相対的シニア層」です。
単純にシニアといってしまうと60代以上、みたいなイメージになってしまうかもしれないので相対的と言っています。実際には40代半ば~のイメージ。
この層の力を活かすことが、企業の力を高めていくと信じていますし、日本社会を元気にしていくことになると思っています。
ただ、今は大手企業を中心に45歳以上の早期退職を促していたりしていて、かなり理想と現実が乖離している印象があります。
パーソルの調査によると、出世したくないという人が出世したいという人を逆転する年齢がおよそ42.5歳という結果が出ています。
その出世を第一目標におかない「相対的シニア層」が変化していく。
なぜ若者を中心とした短期目線での機会づくりキャリアの柔軟性が進むと、「相対的シニア層」を活かすことができるのか。
それはこの層がいわゆる社内調整に巻き込まれる時間が多いと感じるからです。社内で関わる人が多いからこそ、ある一面では仕方なかったものだと思います。
これがルールチェンジの結果、社内調整に時間を割いていた分を専門性の深耕に充てられる。
調整という「貢献価値が見えない仕事」から、自身の貢献がクリアな領域に仕事をシフトしていける。
内的キャリア観を充足していける環境ができるからこそ、「相対的シニア層」の活躍機会が増えていくのではないかと期待しています。
ウィズコロナからアフターコロナに向けて
人事の世界において、今までやれ戦略人事だ、DXだ、HR-TECHだと言われていた領域が、問答無用で更新されるフェーズに入ってきたと思います。
今までやらない理由を並べて進まなかったリモートワークは一気に進みました。
一方で、業態上難しいケースを除いて、できるのに実態としてやっていない企業もあります。
こうした企業は、より厳しくなっていくのだろうと思います。
人事として今年と来年、どう動くのか。目先の対応に対処するだけか。
アフターコロナに向けた変化のレバーを一気に引くか。1年後には鮮明な差が出ていそうな気がします。
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