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熱狂のあとさき(世界フィギュアスケート2019 )

羽生結弦くんの華やかで圧巻の演技のあと、ネイサン・チェンの演技。ネイサンの衣装は地味めなことで知られている。この日も衣装を忘れて練習着で出場したら全米で優勝したという曰くつきの黒いストレッチの出で立ち。直前の羽生くんの演技、羽生ファンの熱狂に取り乱すことなく演技を終え、優勝した。ネイサンファンである私は満足である。

羽生くんの暗い目に、ファンの期待に応えなければならないというスーパースターの宿命を思う。バンドのイエローモンキーの復活ライブに行ったとき、アッパーな曲が次から次へと続いた。ファンとしてはうれしかったけど、だいじょうぶか? こういうのを続けるつもりか? と心配になり、人身御供という文字が浮かんだ。つまり、生け贄になる覚悟を決めてしまったのだなと思った。そんな匂いを羽生くんにも少し感じる。

ネイサンには、ルーツである中国と育ったアメリカの両方のいいとこ取りで出来上がった大きさみたいなものを感じて、そこがとても好きだ。究極的には自分は自分と心から思っているような安定感がある。平昌オリンピックでは金メダル候補と目されていたが、ジャンプをことごとく失敗してメダルを逃してしまった、あれが人生で最初のとても大きな挫折だったろう。メダルを取って医学部へ進むため引退という噂があったのに、フィギュアスケートの現役を続行しながらイェール大に通うというスーパーマンみたいなことをいま現在こなしている。できれば、北京オリンピックで活躍する姿をみたいけど、未来のことは誰にもわからない。やんわり期待することにしよう。

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