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【まいにち短編】#12 急がば回り続ける

急がば回れという言葉がある。

けれども、人間というものはどうしても急いでいるときは色々な障害を見ないことにして、突き進みたくなってしまいたくなる。
そして、後々面倒ごとを引き落こしたときに初めて自分の過ちに気づくものだ。
つまり、急いでいるときにやってくる障害こそが、本当に向き合わなければいけない、自分の問題だ。

でも、自分の問題がわからないときは…?

「はあ…」
「どうしたの?」
「実は…彼氏と別れてさ…」
「えー!まじで!な、なんで?あんなに仲良かったのに!ていうか、結婚するって言ってなかったっけ?」
「ま、まあ結婚は願望みたいなものだったし、ちゃんとした婚約ではないけど…。でも何でなんだろう……」
「まあでも、まだ大学卒業したばっかだしさ、まだきっと早かったんだよ。」
「うーん…」

本当にそれだけなんだろうか。早かった、だけではどうも納得ができない。
彼は昨日なんて言ってたっけ…。

今まで彼と過ごした時間を思い出しても、楽しかった記憶しかない。
二人で撮った写真を見返す。

ああ…これは那須高原にドライブに行った時…、確か途中でちょっともめたんだっけ?
でもいいところだったし、なんだかんだなんだかんだ楽しかったなあ。

えーっと、これはー…ああ、確かなんかのときに彼がサプライズプレゼントしてくれたんだっけ?
このとき貰ったバックどこやったっけ…。

あれ、このツーショットはいつだったっけなあ…、なんか彼が微妙な顔してるけど、なんなんだろう。

見返しても、何にもわからない。どうして、突然別れるなんて…きっとどこかに原因があるはずだ…。
絶対に彼と結婚できると思っていた。だから嫌だと思うことも言ったし、彼もそうだと思っていた。
でも…、彼はどんな気持ちだったんだろう。

「ま、次いこ、次!ねえ、今度合コンがあるんだけど…」

ま、今となっては考えても仕方がないか。他にいい男見つけてまた楽しい日々を取り返そ。

「え!まじで!行く行く!イケメン来るかな…?」

そうして、私は回り続ける。

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