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憧れの無痛分娩には失敗したけど、結果オーライのお産でした

2800g、51.0cmで次男が生まれました。母子ともにすこやか。前から「一人目は普通に陣痛を味わって、二人目は麻酔でどれくらい楽になるか試してみたい」と考えていたので、今回は念願の無痛分娩でした。

せっかく二人産むなら、前回と違うやり方にしたい。そして出産ルポを書きたいと思うのは、ライターの性ですね。

お世話になった産院は、37週を越えてから子宮口や胎児の様子を見つつ、計画分娩日を決めていくスタイルでした。36週1日で子宮口が2cmあいており、37週1日には3cmになっていて、翌週には産むことが決定。とはいえ、夫婦そろってまだ仕事が落ち着いていなかったため、候補のなかでなるべく遠い日にちを選びました。

先生に「それまでに陣痛きちゃうかもしれないけどね……」と言われながら、毎日お腹に「10月3日まで待ってね~」と声かけ。なんとか38週1日の入院日まで持たせることができました。

その日は保育園のピクニックだったので、長男のお弁当をつくってから病院に出発。「産むぞ~」という気持ちで電車に乗り、自分の足で歩いて入院するのは、なかなか不思議な経験でした。

■8:00 お腹のモニターや麻酔の注入口などを設置

今回トライした無痛分娩とは、硬膜外麻酔で下半身の痛みをやわらげる方法です。
なので、まずは背中をまるめて、背骨と背骨のあいだに針を入れ、カテーテルを装着。皮膚にも麻酔をしてもらっているので、痛みはほぼなく、ちょっとチクッとする程度でした。

それから、抗生剤と陣痛促進剤を入れるための点滴を、左手にセット。太くて長い針なので、むしろこっちのほうが地味に痛かったです。

ひととおり下準備が終わったのちの内診では、子宮口の開きが4~4.5cm。まだ注射の準備をしただけでなーんにも始まっていないのに、かなり開いていました。
長男のとき、陣痛5分間隔で病院に到着したのが同じく子宮口4cmだったと思うと、恐ろしいほど。予定日より早めの計画分娩とはいえ、まじで全然待ったナシです。「むしろ、親の都合に合わせて今日まで待っててくれてありがとう」と、赤ちゃんに感謝がわきました。

■9:30 陣痛促進剤の点滴開始

ここから促進剤を投与して、人工的に陣痛を起こし、つらくなったら麻酔を入れて痛みを緩和していきます。
促進剤の量や点滴速度がアップするにつれて、腰がじんわり重い。11時ごろには2~3分間隔で痛むものの、余裕で我慢できる感じが続きました。

今日は、産まれたあとで義両親に長男を連れてきてもらう予定。でも、出産で不安定になっている長男のメンタルを考えると「みんなと赤ちゃんの初対面」「長男とわたしの再会」はなるべく分けたい。なるべく早めに産んで、いったん義両親と赤ちゃんが会ってから、あらためて保育園のお迎えに行っていただくのが理想……。

面会時間との兼ね合いを考えると、そのスケジュールが実現する分娩のデッドは15時。「理想をいえば14時半だね」と夫と話していました。

■12:00 おしゃれランチ

食事がおいしいと評判の産院だったため、マトンの入った本格派サグカレーが登場。
でも「分娩後半は麻酔が胃のあたりまで来ちゃうから、あんまり食べすぎると吐くかも」と言われたため、ほどほどに済ませました。痛みは続いているけれど、まだまだ余裕。

ときどき様子を見に来る助産師さんにも「顔が痛そうじゃないから、内診する気にならないんだよね~」と軽口をたたかれました。みんな明るくてさばさばしていて、とても居心地の良い病院です。

食後も夫とおしゃべりしたり、うとうと仮眠をしたり、Kindleで漫画を読んだり……。しかし、まだ一度も麻酔を打ってないことを考えると、こりゃ早くて夕方コースかな、というムード。

■13:50 人工被膜で破水/一回目の麻酔を投与

ひさしぶりに先生が登場するも、子宮口には進捗ナシ。赤ちゃんが降りてきている様子もナシ。なので、破水させてお産を進めることになりました。内診&被膜、めっちゃ痛かった。

「破水すると一気に陣痛が強くなるから、麻酔も打とうか~」と言われるも、朝から促進剤がいまいち効いていないことが頭をよぎり「少し我慢したほうが、あとの進みがいいですかね?」と迷う私。でも、先生も助産師さんも「大丈夫。きっと進むから我慢しなくていいよ、打っちゃいな!」と明るいので、打っちゃうことにしました。

背中に続く注入口に麻酔を入れると、背中がうっすら冷たくなっていく! ビニールプールにあおむけで寝転がって、冷たい水を2cmくらいぴゃーっと流し入れたような感覚が面白くて、地味にテンションが上がりました。

■13:55 陣痛がじわじわ強まりはじめる

破水から5分経ち、波がきたときには「いたた……」と顔をしかめ、動きがとまるくらいの痛みに変化。でもまだまだ余裕。
「麻酔が効きはじめるまで10~15分かかるらしいから、いまが頑張りどきです」とかなんとか、痛がりつつも普通にしゃべっている動画が、夫のiPhoneに残っていました。直後に待ち受けている惨劇を思うと、どんな事件もこうして日常から起こるんだな、とひしひし感じます。

■14:10 陣痛がさらに強まり、呼吸に集中しないとつらい

予定ではそろそろ麻酔が効きはじめているはずなのに、ぐんぐん強まる陣痛。これはやばい……! 麻酔の効果がピークになるのは15時ごろだけど、痛みが強ければ追加できるという話だったので「痛くなってきたんですが、麻酔はいつ増やせますか?」と、ナースコール。

でも、1回目を入れてまだ15分しか経っていないため、さすがにあと1時間くらい経たないと追加できないとの回答。つまり、現時点では耐えるしかない。「麻酔後はだいたい8割くらいの痛みがとれます」と聞き、油断しまくって今日を迎えたのに「あれ、これもしかして普通に痛いやつでは……?」と焦ってくる。

助産師さんに内診してもらうと、子宮口も5~6cmまで開いているらしいけど、それじゃ分娩までまだ先は長そう。

■14:23 出そう!!!

痛みが本格的になってきて、まだ10分ほど。子宮口だってさっき6cmしか開いてなかったというのに、なんか出そう!?!?

「うわ~、これお産の体験談でよくある、まだ全然そこまで進んでない妊婦さんが『やばい! 出る!』とか言う“出る出る詐欺”やん……!」と恥ずかしくなりつつも、痛いしまじで出そうなので、ナースコール。

助産師さんがまた来てくれて、子宮口を確認し、なにやら分娩の準備を開始。
「出ちゃってもいいんだよ~、病院なんだから。出てもいいけど、力入れないで、呼吸だけして。ふー、って吐いてね」と言われました。
え、出てもいいの? ていうか、こんな早いタイミングで、一体なにが出るの? と混乱する私。それにしても、痛い!!! 思わずうめき声が出ます。

■14:28 助産師さんが「先生呼んで~」

おだやかに呼吸を指示しつつ、てきぱき作業を進めていた助産師さんが、先生をコール。
そのころには、すっかり降りてきているらしい赤ちゃんの頭が、出口でひっかかっている感覚。「この焼けるように熱い痛み、長男のときと同じで懐かしいな……」と、うめきながらぼんやり思う。

しかし、ひっかかっているということは会陰を切らなきゃダメだし、切らなきゃダメだって思うくらい下半身の感覚が残っているということは、前回同様パチンと切られたら普通に痛そう。いや、無痛分娩って痛くないんじゃなかったっけ? いま私はいったい、なに分娩をしているのか。

だけど、さっき呼んだ先生が来たらきっと会陰切開して、そしたらもういきめるわけだから、あと1時間くらいすれば産まれるのかな……? と、淡い期待もわいてきます。

前回は分娩台にサイドバーがあり、いきむときにはそのバーを握れたけれど、今回はなにもありません。じゃあこのあと、どこを持っていきめばいいのかなぁなどと思いながら、必死で呼吸を続ける私。思考だけがわりと冷静に、ぐるぐる巡ります。

■14:31 まさかの誕生

「ふーっ、ふーっ」と言われるがままに呼吸を整えていると、助産師さんが「もういいよ~」と一言。とっさに力が抜けたとたん「ほら、下見てごらん、泣いたよ~」と、生まれたての赤ちゃんが抱き上げられました。

会陰はちょっと裂けたけれど、いきむことすらなく、するっと誕生。この写真は喜びとともに「えっ、まだ始まったばっかりなのになんか産まれてるんだけど!?!?」的な感じで、思わず笑っちゃっているところです。
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陣痛の本格化から20分、体感2分くらいのスピード出産。身体が麻酔のピークにたどりつく前に、陣痛のほうが華麗に駆け抜けていきました。

麻酔を打ってくれた先生は、1時間ほど経ってからようやく再登場。「早すぎ」と笑いながらおめでとうを言ってくれて、うれしかったです。

■残念ながら、無痛分娩に適さない私

長男のときもだったけれど、陣痛がつきはじめたらわりと早いタイプらしく、助産師さんが「次回はもう普通分娩がいいかもね~」とのこと。痛みを感じてから麻酔を打つようじゃ間に合わず、私の身体で無痛分娩は難しいようです。残念。
まぁ、次回はもうないんだけどね!

■ちょっと不憫だった夫

長男のお迎えにスタンバってくれている義両親に状況を伝えるため、分娩中にも隙を見てLINEしてくれていた夫。でも、その様子を助産師さんに見とがめられ「お父さん! お母さんの顔見てあげて! 声かけてあげて!」などと繰り返され、ちょっとかわいそうでした。笑

私でさえ陣痛の心づもりができていなかったのに、夫なんてもっとできてないはず。それでいきなり「声かけてあげて!」と言われても、苦しそうな伴侶になにも言えないよね~。

それでも「がんばれ!」という感じで微笑みかけてくれて、私もぎりぎり微笑み返したりしてたんだけど、助産師さんから私の顔が見えていないため「なに笑ってるの~」みたいなツッコミまで受ける始末。

きっと、真剣みが足りなくて頼りない夫に見えたんでしょう。いつも完璧なパートナーとして賞賛されるばかりの夫がめずらしくそんな扱いを受けていて、かわいそう半分、おもしろ半分でした。

■無痛分娩、やるだけの価値はあります!

ふつうに痛かったけれど、苦しかったのはほんの短い時間だけだったし、結果オーライ! おかげで疲労もほとんどなく、会陰の傷も小さいのか、産後はとっても元気でした。

退院してからちょっと後陣痛がぶり返したけれど、これは経産婦だからで、分娩方法とは関係なさそう。当日までのわくわくと、分娩前半の心の余裕を買ったと思えば、無痛分娩にしてよかったです。

それにしても、子宮口3cmから一週間後の入院日まできちんと待ってくれたうえ、「理想は14時半」のぴったりに産まれてきてくれた次男。あとからそれに気づいたとき、クライマックスの嘘みたいな加速が「やばい!お父ちゃんお母ちゃんとの待ち合わせに遅れる!」みたいな次男の意志に感じられて、鳥肌が立ちました。

■ちなみに、長男の分娩レポはこちら

読み比べてみると、やっぱり長男のほうは初産&普通分娩の緊張が見えるし、気持ちがドラマチックです。だけど、どっちも滞りなく産まれてきてくれて、それがなによりよかったよ。


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