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愚詩

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2021年7月の記事一覧

て て

いろんなものを、てばなして
てばなして、てばなして

どんどん、どんどん
軽くなり

こんがらがった糸が
虹のような美しい曲線を描いて
フワリ
と、浮き上がったところで

手をみる

手元に残ったのは
手だった

  いや、ダメじゃん
  全然ダメじゃん
  だれがそんなの望んでるんだ
  つまんねぇよ、くだらねぇ

今日も誰も知らないところへ
隕石が落っこちる

filmlet

2階から声がした
たくさんの笑い声が聞こえる
僕もその中に入りたくて
入りたくて 入りたくて

恋をしていた
長い間恋をしていたので
恋をしたことも忘れていた

恋をしていたのかもしれない

走馬灯のように記憶は
果てしない
果てしない
星と星とを結んだ
デタラメな星座ができあがったあたりで
また声がした

今度は僕を呼んでいるような気がしたので
牛乳を飲み干し
よし
と重い腰を上げ
さよならし

もっとみる

境界線

全てを投げ打ってできた境界線は
泣き止んですぐの、
涙の跡に似ていた

可能性ばかり信じていた僕の
みぞおちあたりがはみ出して
トクン、トクン、と
立ち入り禁止を知らせていた。

あした天気になぁれ

蹴り出した足は
まだ空の中にあって
少しつりそうになって
バランスを崩した瞬間
その瞬間に
誰もいないことに気づいた

少しだけ笑ったところに
新しい境界線がひかれた