見失った循環

古事記の中にオオゲツヒメノカミが
お腹を空かせたハヤスサノヲノミコトに
お膳を用意する場面があります。

オオゲツヒメノカミは自らの頭を掻き
ふけやシラミを落とし
唾を吐き、鼻をかみ、耳をほせり
大小便をもって材料に加え調味し、
お膳を仕立て上げます。

其れを覗き見たスサノヲノミコトは
怒り狂いオオゲツヒメノカミを殺してしまいます。

けれどもその屍の全ての穴からは
五穀豊穣の芽が出、実がなります。
そしてカミムスヒノカミは
それを種とし葦原中つ国に散り蒔いた。
事が記されています。

見た時は「えーっ」と思いましたが
よく考えてみれば何の不思議も無い。

以前は人糞を肥料として田畑に撒いていたのですから。

何時頃からか臭いを嫌い、目に映るものを汚いと思い
手間、労力の過酷さから遠のき消えていったのかも知れませんが、

当たり前の様に、当然の様に、
自然に循環していた、天と地の
宇宙世界の循環があったのだろうと思います。

それを忘れてしまった。
簡単、便利、楽チンに誰もが乗っかってしまった。
かく言う私も当事者です。

自給自足を始め成功した話も聞きますが、
農耕作業をした事も無い人間が
いきなり携わったからと言って誰もが成功するとは思えません。

実際真似事は出来ても、自給自足なんてとんでもない。
絵に描いたお餅の話です。

それでも今出来ることが多少なりともあるのなら
めげずにもう一度やってみようとか思っていたりするのです。
そして補いきれない多くのものは、その専門家にお任せし
広くネットワークを築く事で、繋がっていく事で
誰もが豊かになって行けばいいなと、
私もその仲間に入れてもらえないかなと、思っているのです。


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