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8/10 ROCK IN JAPAN 2019 (3日目)を観た

10:30~11:15 ポルカドットスティングレイ (PARK STAGE)


ポルカはとても計算高い。ライブにおいても、ここで盛り上がって下さいという合図が露骨過ぎるのがあまり好きではなかった。が、この日は演奏もMCも含めたライブ運びも違和感なく進んでいったように思えた。


この日1番の見所、それが最後に演奏した「ラブコール」という曲。


ギターを弾くことにこだわりはない、型に嵌ってそれっぽい言葉で叫ぶだけならロックじゃなくて良い、と歌うこのバンドなりのロックが最も詰まっているナンバーを「ROCK」を冠するこのフェスで演奏したのは何かメッセージを感じさせるものだった。


武道館ライブで演奏した曲の人気投票でもこの曲が1位に選ばれてることからも、ポルカのファンはこのバンドならではのロックを求めているのだと思う。


新時代型でグイグイ勢いのある彼女達が発する「そんなロックならいらない」という姿勢に他のアーティストが共鳴、あるいは反抗して、各々の姿勢でこのフェスに挑んで欲しい。ポルカはその火付け役としてこれからもJAPANに欠かせない存在になっていくのだろう。


11:45~12:35 キュウソネコカミ (GRASS STAGE)


オーラルやフォーリミ、KEYTALKなど他の同世代バンド達が2年目のGRASS STAGEに自信を覗かせていた今年のROCK IN JAPAN。

キュウソも勿論その1組だったが「まさか今年もここに立てると思っていなかった」と話したのは彼らだけだった。別に負い目を感じているわけでは無いと思うけど。


バンドはライブの中盤に「音源化する予定はない」と言って新曲「冷めない夢」を演奏。

1つ前に観たポルカの雫さんに言わせたら「型に嵌ったそれっぽい言葉」と言われてしまいそうなぐらい、あまりにストレート過ぎる歌詞に笑ってしまったが、そういう言葉が1番素直に届くことだってあるのだ。


そして何より、キュウソにとって夢は「醒めない」じゃなくて「冷めない」ことが大事だということ。


2年続けてGRASS STAGEに立ち、夢を見るものから掴み取るものへとその意味合いを変えたのだと思う。

憧れのステージに立って夢見心地でいたらすぐに振り落とされてしまう。夢を転がし続けるために必要なのは、理想を描く想像力以上に、今の熱量を途絶えさせないことだ。


キュウソネコカミは「ロックバンドでありたいだけ」というシンプルかつ最強な熱量で、新しい時代を転がり続けていく。後は「ヤンキーこわい」を世界共通言語にして欲しい。笑


13:00~13:50 KANA-BOON (GRASS STAGE)


1つ前のキュウソネコカミらと共に"フェスロック"と言われた時代を牽引してきたKANA-BOONは今年で5年連続でGRASS STAGEに登場した。


流石にもう勢いのある若手バンドなんて呼ばれ方はしない。巨大なステージでの立ち振る舞いも、お客さんの盛り上がりにも良い意味で安定感があった。


とはいえ、周知の通り、バンドは今流石に安定しているとは言えない状態にある。

それでもそんな状況を感じさせない鮪さんの笑顔からは、窮地であっても残った3人の好調ぶりが伺えたし、年々ビルドアップされていく演奏もそれを物語っていた。


ライブ後半「盛者必衰の理、お断り」「シルエット」「フルドライブ」と2010年代後半の必殺チューンを続け、モニターにオーディエンスの熱狂ぶりが映った時に自然と涙が溢れてきた。


きっと、自分がこの5年間、この世代と共にひたちなかの夏を過ごして来たから。ロックインジャパンは1年間の成長ぶりを確かめる場所だったから。そして、いち早くメインステージに立ったKANA-BOONが新世代としてのバトンを掴んで引っ張ってきたことへの感謝がそうさせたのだと思う。


2020年代はこの世代がメインストリーム。その中心的存在として、またGRASS STAGEに4人で立つ瞬間を待ち望んでいる。




14:00~14:45 BLUE ENCOUNT (PARK STAGE)


ロッキンのブルエンは逆境との戦いでもある。

自分もひたちなかでこれまで2回観てきたが、まずは初出場した2015年。この日もヘッドライナーだったBUMP OF CHICKENの真裏のPARK STAGEのトリ。

そして昨年、バンドが大尊敬するELLEGARDENも経験した、サザンオールスターズの真裏のLAKE STAGEのトリ。どちらも集客的には満員とは言い難かったと思う。


だからなのか、冬はいち早くメインステージに立ったブルエンだが、周りのバンドに比べてGRASS STAGEが近いようで遠い。

JAPANは彼らに試練を与え続けているように感じる。もちろんそれは逆境を跳ね返せる力があると期待を込めてのことだと思う。


仲間でありライバルでもあるバンド達は今年もGRASS STAGEに立った。絶対に悔しいはずだけど、それをライブ中は口にしてこなかった。

その悔しさ以上に、集まってくれた「あなた」のために鳴らすのがBLUE ENCOUNTだから。今のバンドからはその想いがより強固になっていることが伝わってくる。


MCで田邊さんが話していたけど、簡単に終わったと思われたり、勝手にネガティブなことを想像しないで欲しい。

ブルエンは器用でそれ故に脆いバンドだと思う。だからこそ、まだまだ伸び代を求めていきたい。逆境を乗り越えた先に、巨大な大草原で観れる日が待っているからだ。



15:30~16:20 UNISON SQUARE GARDEN (GRASS STAGE)


大き"過ぎる"ステージではライブをやらないということを公言してきたユニゾンのことだから、今年もBUMPの裏かなんかでLAKE STAGEに立つものだと思っていた。

が、今年はバンド結成15周年。バンド側もお祝いしてもらう1年だと話していた。


毎年溢れんばかりのLAKE STAGEで苦労したファンのため、そして晴れ舞台を用意してくれたJAPANのため、というわけではないと思う。彼らがGRASSに立つということは、バンドのある種のポリシーを1つ壊す大きな決断だっただろう。


ライブはフェスではお馴染みのノーMCの1本勝負。そこは貫き通したが、それも今までLAKE STAGEや他のフェスでやっていたことをそのままGRASS STAGEでやっているだけではなかったと思う。

巨大なステージに並べられたミニマムな三角形はとても大きく立派に見えたし、メンバーにとってもファンにとっても誇らしい50分間だったはずだ。


16:45~17:35 あいみょん (GRASS STAGE)


前回は昼間のBUZZ STAGE。そこから超ジャンプアップを果たしてGRASS STAGEのトリ前に登場。

とはいえ、この1年の活躍ぶりを振り返ればこの位置にいることは不思議でも何でもなく、大抜擢感が無いのが今のあいみょんの凄みだ。


当の本人からも全く重圧を感じない。着飾ることなく自然体な雰囲気をまとって、今や多くの人々の共通言語となったナンバーを続けていく。

数年かけてGRASS STAGEにたどり着いたロックバンド達のアツさとも違う。今までもこのステージで普遍的に流れていたと錯覚してしまうぐらいの王道感こそ彼女の魅力だ。


ロックインジャパンの名の下に演奏された「君はロックを聴かない」を聴いて、このフェスがここ数年間で普段ロックを聴かない人にも求められるフェスになったことを再実感したし、それはその変化を肯定的に捉えるロックリスナーの存在があってこそだと思った。


と同時に、色んなロックバンドをこのフェスで観てきて、こんな歌あんな歌に救われてきた6年間を誇らしく思えた。みんなが知っている歌で、各々の原体験を刺激する。とても素晴らしい体験だった。


18:05~19:30 BUMP OF CHICKEN (GRASS STAGE)


遂にこの目で観ることが出来た。


例に漏れず自分も中学生高校生の時からバンプの音楽には触れていたし、当時の青い記憶がフラッシュバックする瞬間もあったが、それ以上に今のバンプが魅力的に思える。

暗くなったGRASS STAGEを彩る演出も含め、最新アルバムの世界観に魅了された90分だった。


「記念撮影」を聴いて、あの時の理想とは違う未来を進んでいくことへのワクワク感を覚え、沢山のひとりぼっちが集まって同じ体験を共有し、それぞれの物語が出来ていくことの尊さを「望遠のマーチ」で噛み締めた。


そして、そんな日々が繋がって今日まで続いたこと、その愛おしさを「新世界」のフレーズに託す。陽が沈んで少し肌寒かったが、彼らの鳴らす音と言葉はただただ暖かかった。



この日最後の曲「ガラスのブルース」でこの日何度目かのシンガロングを響かせた後、ステージに1人残った藤くんが「この日出演した全てのアーティスト」「1日楽しんだ皆んな自身」「このステージを20年作り続けたROCK IN JAPAN」に向けてそれぞれ大きな拍手を促した。


そして最後に、その全てを繋いでくれた音楽に大きな拍手を贈った。

決して雨風を凌げたりお腹が膨れるわけでもないけど、音楽が無いとお互い生きていけないからだ。


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