佐藤キヨ

小説を書きます。

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最近の記事

私は自分でなんとかする、もう虐待なんてされません

今から21年前。 「喉が渇いたので、どうかお水を下さい。」 お水を欲しがる少女は被虐待児。毎日、パパが叩いてくるよ。 「ダメだ!ダメだ!ダメだ!!」 娘にビンタを食らわせるパパ。 「しばらく、外で反省してなさい。」 パパはそう言って娘を家の外に放り投げました。パパは酒飲んで家で好きなことしていたい。だから、娘をよく締め出すのです。 パパにとって締め出しなんて朝飯前。けれども、娘はもう限界でした。娘は助けを求め、裸足のまま交番を目指して走りました。 大人たちは裸

    • 長生きしすぎは恥なのか?死神は語る

      世界全体の平均寿命が64歳になった。世界の平均寿命は13年間低下している。しかし、世界の総幸福量は10年連続で増加しているのだ。 平均寿命の低下と幸福度の増加の理由をを知る男がいる。死神、不破陵ジ郎(フワ リュウジロウ)である。 -今日は死神界のドン、不破陵ジ郎さんにインタビューさせて頂きました。 不破さん、今日はよろしくお願いします。 不破(以下、不):はい、こちらこそ。よろしく。 -まず、死神という職業についてお聞きしたいです。一般的にハードな職業だと言われています

      • 変わらない者は

        この国には奴隷制度があった。数年前、国王は奴隷を解放した。 当然、奴隷を使って利益を上げていた人々は奴隷解放を快く思わなかった。この国は工業が発達しており、多くの奴隷が向上で働いていたため工場経営者は奴隷解放に反対していたのである。 とある工場長の息子、ヨキムもそうだった。ヨキムは元奴隷の人々を見下しており、元奴隷は自分より劣った存在であるから支配されるべきだと考えていた。 政府が奴隷解放宣言したのにも関わらず、ヨキムは解放された奴隷を無理やり連れ戻し、昔のように働かせよう

        • 47歳で、結婚はされてないって

          「長谷部さんがうちの部署に来てくれて良かった。」 「本当にそう。最初は静かそうな人だと思ったけど、親切だよね。でも、ダメなところはダメと言ってくれる。」 長谷部カナは47歳。独身でこじんまりとしたアパートに住んでいる。 今から30年前。 「カナ!お前のせいで私は不幸なんだ!出ていきな!!」 ボサボサ頭の母親に蹴られ、家の外に放り出された少女がいた。 少女の母親はシングルマザー。夫が不倫し、離婚。養育費も貰えず、貧しい暮らし。母の心は荒み、アルコール依存性になってしまった。

        私は自分でなんとかする、もう虐待なんてされません

          余った僕らと姉の声

          僕には結婚を考えている彼女がいる。彼女といると楽しいし、仕事もキツいが順調だ。 けれども、僕には悩みがある。ときどき僕の姉だと言い張る女の声が聞こえるのだ。この幻聴は、彼女と付き合って数ヶ月後に始まった。 ついさっき聞こえた声はこんな感じだ。 「私はあなたのお姉ちゃんなの。それだけは認めて。」 意味が分からない。僕には姉はいない。一人っ子だ。僕が心の声で「知らない。」と返しても彼女は無反応だ。やっと僕の人生は良くなってきたのに、こいつの声で僕は疲れている。 自称姉の声は

          余った僕らと姉の声