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ちょっとそこまで、デンマークまで。




羽田から12時間のフライトでイスタンブールにつき、9時間待ちのトランジットののち、3時間ちょっとのフライトでコペンハーゲンについた。

前回同様ターキッシュエアラインズでイスタンブールを経由してのデンマーク。乗り継ぎ待ちのイスタンブール空港は懐かしがることのできない、全く見覚えのない景色。ギラギラと眩しすぎるハイブランドの看板の下で、時間を待つ人々が地べたに腰を下ろしたり寝そべっているのが、なんとも不思議な光景になっていた。


どうやら2019年の4月6日に新しくなったらしい。
前回私がデンマークについたのが2019年4月1日だったので、空港に見覚えがないわけだ。薄暗く、寒く、座るところもなくTOBLERONE(黄色い三角のチョコ)以外は買えるものがなさそうな空港の中で、彷徨いながら見つけたザクロのカップを買ってスプーンで食べていた記憶がある。

そんな記憶が残るイスタンブール空港での9時間のトランジットを、少々億劫に思いながら飛行機に乗り込んだものの、結果としてとても快適な待ち時間になった。

iGA Loungeというラウンジが使えたためで、ラウンジ利用で、ご飯もシャワーも無料でそれなりに休むことができ、長いトランジットが何一つ苦ではなかった。(PR案件みたいなこと言ってるけどちがうよ)


何より助かったのは、イスタンブール空港内のトイレは、水が怪しかったので(飲んじゃダメと書いてある)ボトルの水を買わないと歯磨きできない。顔も洗いたいしな、と思っていたところ、ラウンジが使え、そこは水も大丈夫。

シャワーも浴びることができた。最後まで凍えるほどの水しか出なかったけど。
「どうやってお湯だすの?」と、係のお姉さんに聞いても「わ、わかんない」と一言。お湯の出し方がわからない?そんなことあるんか?と思ったけど、全裸のはずの女からいきなり話しかけられて(ドアを少し開けて顔だけ出した)戸惑ったのかもしれないし、英語にあんまり自信なかったのかもしれないし、どちらの戸惑いもわかるから諦めてさくっと汗だけ流した。水シャワーで、図らずもインド旅を思い出す。


トルコ料理を初めてラウンジで食べると、美味しく、トルコにも降り立ちたくなってくる。ラウンジの厨房に立ってパンをのせてくれるおじさんに、ゴマのプレッツェルをお願いするとトルコ語で話しかけてくれた。

「セミ、セミ」(そうきこえた)と言ってゴマプレッツェルを一口、私の口に運んでくれた。ごまのパンだよ、美味しいんだよ、と言ったところだろうか。歯応えがあってわずかに効いた塩味がおいしい。チーズの入った小さなパイと、パテの入ったパイを一つずつもらってバターも頂戴と言うと、日本人が4ヶ月くらいかけて消費するような量のバターを皿に入れてくれた。一発で皿に置かれると、いらない、とはなんだか言えない。

出発前に友達からターキッシュエアラインズで6時間以上のレイオーバーのフライトの人に無料の観光ツアーがあると聞いて、申し込みを楽しみにしていたものの、事前のビザ申請が必要だったことに後で気づいたことと、ツアーの時間が今回のフライトにちょうど合わなかったため断念した。トルコ料理を食べて、なお降りたちたい気持ちに拍車がかかる。両親が新婚旅行で、トルコに行ったとかで、サバサンドを食べろとか、チャイを飲めとか色々言われて「はいはい」と心の中で思っていたものの、去る頃には、食べてみたいなサバサンドと思っている不思議。

今のところターキッシュエアラインズやイスタンブール空港の使者みたいになっているけれど、このあといよいよ普通にデンマークへ向かう。

イスタンブール空港から乗り込んだ乗り継ぎの飛行機では、ノルウェー人のおじさまと、パキスタン人の青年と仲良くなった。
乗り込んだ飛行機のなかで、3人で通路を譲り合っていたら、みんな席が隣だったことがきっかけだった。

霧の影響で飛行機が飛ぶのがだいぶ遅れたものの、今までのフライトで一番楽しく忘れ難い時間になった。

フィンという名のノルウェー人のおじさまは、ナミビアの友人を尋ねた帰り、コペンハーゲンで乗り継ぎをしてノルウェーに戻ると言う。アルマという名のパキスタン人の青年は、イタリアのピザ職人を6年しており、ノルウェーの家族に会いに行くのだそう。この二人は行き先が同じということが早々に判明したらしく、私が席に着くよりも先に仲良くなって話していた。

私は日本から来たことや、次にいく街のデンマーク語の発音がいまいちわからないことを話すと、
「きっとこう言う発音だよ。デンマーク語とノルウェー語はよく似ているから」と教えてくれたおかげで、デンマークの最後の入国審査で「どの街にいくの?」と尋ねられた時も伝えることができた。

途中、アルマが「ピザを焼く速さが1時間5分なんだ(すごいだろ)」というような(ちがったらごめん)ことを言ったのだけど、私とフィンはそれがすごいことなんだ、ということをアルマのドヤ顔をみて初めて知ることになった。フィンがすかさず「ブラボ」といったので、さすがだなとおもって私も真似をした。

それからまたいろんな話をして3人の中でも1番長時間フライトだった私に二人が
「コペンハーゲンについたらゆっくり休みなね。ビールでもたくさん飲んでさ」と言ったので冗談で「ハイネケンね!」と言ったけれども、二人ともデンマーク人ではなかったので、にこやかにうなずくばかりだった。
乗り込んでいたであろう周辺の多くのデンマーク人が心のなかで「そこはカールスバーグだろ!!!」ってつっこんでいたに違いない。

思いがけず素敵なフライトに、これからの生活を勇気づけられる思いだった。着陸の前にフィンが「3人で旅の健闘を祈ってお別れをするからね。一人で行ってしまわないでね、いいかい約束だよ。」と言ってくれた。

フィンは飛行機のCAさんとのわずかなコミュニケーションにもセンスよく冗談を交わすような粋で優しい人だった。たった一言「Thank you」というその声にもやさしさが宿るような。この一言を伝える声色や大きさ、視線の配り方、そう言うことの大切さをこの一瞬のうちに教えてもらったことも、ついシャイになりがちな自分にはとてもありがたいことだった。とは言え、心がけというものは一瞬にしてならず、しかし繰り返し学ぶことで確実に自分に定着して、ついにはフィンのような人になれるのだろう。いつか私もこんな人になりたい、と自然と思った。


3人で一緒に飛行機を降りると、乗客が自然とがエスカレーターに吸い込まれていく中、フィンがエスカレーターを避けて階段をいたずらに笑いながら駆け上った。私たち二人もついて駆け上がっていく。「タフすぎるよ!」と私が言うと「ノルウェー人はみーんなタフなんだよ!」とまたニヤッと笑った。階段を登ったフィンの背中に自然とついて行ってしまったその不思議な引力に驚くばかりだった。

TransferとExitの分岐で
「いい旅を。元気でいてね。」といってハグをしてくれたフィンの瞳が優しさの色そのものだった。俺のピザすごいんだぜって言ったアルマのピザ、いつか食べてみたいな、と思いながらとうとう連絡先はお互いに聞かなかった。それが旅の良さ、それでこそ、ともおもう。Before sunriseじゃないから、何年経ってもきっともう会えないだろう。けれどこの先もずっと私に優しさの灯火を宿してくれるような二人だった。

コペンハーゲン空港の匂いがじんわりと4年分の想いまで心に投影していくようで、この地になんでかとても戻ってきたかったことを深く思い知る夜になった。

素敵なフライトの後待ち受けるのは、入国審査と大きな荷物。荷物は今回1番の悩みの種。しかしロストしてなければ、スーツケースが大破してなければ、それだけでありがたい。文句は言えない。

無事入国審査で、真新しいパスポートに最初のスタンプをもらって、荷物も二つ無事に受け取ると、地下鉄にのりこんだ。案外いろんなことを覚えているもんで、手惑わない自分に安心する。しかし乗り換えのある地下鉄よりも鉄道に乗るべきだったことを、だいぶあとで思い出した。

ホステルで部屋に着くと、ブラジル人のシルヴィアという女の子が荷物の場所の確保を手伝ってくれた。とても気さくで、優しいかわいい女の子。彼女は寝る準備を早々に済ませると「私はもう寝ちゃうけど、何かあったら起こしていいからね。大丈夫だからね。」と言ってくれた。やさしい。I'm here for youって日本語だとどんなふうにカジュアルに言えるんだろう、なんて髪を洗いながら考えたりした。

私も寝る準備を済ませると、20時過ぎには眠りに落ちた。30時間以上ぶりに横になった。確かにラウンジと機内食で三日分くらい調子に乗って食べた気もするのですこし体が大きくなったのかもしれないけれど、それにしても足のむくみ、ひどいわけだ。いつのまにか靴も泥だらけ。

学校に着いたら、学校に着いたら、と色々やることに思いを馳せている。まずは大きな荷物と共に問題なく次の街につけますように。

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