見出し画像

同性愛ではないBLの話

私は絵描き界隈に生息しているので、当然のように隣の垣根を越えるとBLがある。
もう何十年もBLの隣で生活してきたので、BLのルールや傾向なども把握しているし、私の友人も深さに差はあれどBLに沈んでいる。
だから、ごく普通にBLに理解がある人、と思われがちなので、自分の意思表示をしておくと

嫌悪する程ではないけれど、
私は兼ねてからBLを受け入れていない。

私は同性愛の権利獲得支持者なのに、どうして受け入れられないのか不思議だった。
ゲイやレズビアン、その限りでない様々なマイノリティの人々が愛を育める世の中にしたい。
もしかしたら、私は深層心理では同性愛に良からぬ印象を持っているのか、と不安にすらなったが、その疑問の答えが最近見つかって、目から鱗だった。

以前、Vtuberの配信でBLを取り扱い炎上したという出来事があった。
その際にこちらの「なつのおもいで」さんが公開した記事で
「BL文化が男性表象を用いて異性愛を語り直す表現」と解説され、また
それを「強制的異性愛一歩手前でLGBTQ的にグレー」とも書かれている。
これこそ私が今までBLに感じていた違和感そのものだと、気付かされた。

【男女の恋愛モノの王道に、同性愛のガワを被せているに過ぎない】事が多いからだ。

私がこれまでに見たBLの特徴として

女性から見てムダ毛である部位の除毛
白くて滑らかな肌とピンクの乳首や唇
長いまつ毛 細い眉毛 サラサラの短髪すぎない髪の毛
女性のような丸みのある尻 細い顎
薄い筋肉(腹筋は割れていても、特に脊柱起立筋と広背筋はほぼ描かれない)

などの女性的な特徴を用いたデザインが余りに多い。
恥じらう仕草、高揚して涙目になる表情、料理を振る舞ったり世話を焼いたり
いわゆる“若奥さん(orママ)”的表現も多い。

「どうして、同性愛コンテンツなのに男性がありのままでいちゃいけないの?」
「男性の恋愛を描いてあるのに、“彼女やママ”扱いするの?」
初めて見た時、そんな疑問が湧いて、
「同性愛のようでいて、同性愛じゃないんだ。本物の同性愛はだめなんだ」と打ちのめされた。
なつのおもいでさんが「強制的異性愛」と表現されていた部分で
その時のショックが蘇ってきた。


「ありのまま」を受け入れない、という傾向は女性に多くみられる。
写真加工アプリもそうだし、ペットに対してもそう。
(参考画像:ユニ・チャームペットさんの日本向け展開犬用おむつマナーウェアHPと、Four Pawsさんの海外向け展開犬用おむつWee-Weeのデザイン比較。

画像1

画像2

↑日本では犬は「幼児化」されて愛でられるが
欧米では犬は犬のまま愛でられる、という傾向が
如実に現れたデザイン対比である。

可愛がっているのだから「人化」「幼児化」しても良いじゃないか、と思うかもしれないが、
母親が息子を「彼氏化」するのと変わらない。

BLも同じで、腐女子が愛でるために
男性同士の恋愛を、(彼女役の男を作ってまで)男女間の恋愛に落としこんでしまうと
同性間の恋愛、といいつつ、性的マイノリティーへのモラルに欠けた作品が出来上がる。

では何故、腐女子は“同性愛にフィルターをかけてまで、歪曲した異性愛を求めるのか”と言う疑問が湧くが、それにはこちらのサイトを引用するのが良いのではないかと思う。

「BLの魅力は、自分の性と切り離して楽しむことが出来るところ」
恋愛は好き、イケメンは好き、だけど恋愛もセックスも"自分は"苦手、という構図だ。
彼女らがゲイ漫画やゲイ向けAVよりBLを好むのは、それを通して男女間恋愛のスタイルを見ているからだ。
私が、百合、ゲイ向けコンテンツ、異種愛、が平気だけど
BLだけ受け入れられないのは「ありのまま」でないからなのだ。

勿論、これらに該当しないBL作品であれば何の問題もなく好きになる事もあろうが、滅多にお目に掛からない。
業界全体に見られる男性を女性像に置き換える歪曲がある限り、今後もこのジャンルを好きになる、という事はないだろう。
勿論、個人の趣味として否定する気も無いが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?