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感情や心は見えないけれど、育てていきたい大切なもの。 『ちゃんと泣ける子に育てよう』を読んで

以前から気になっていた本を読みました。

大河原 美以さんの
ちゃんと泣ける子に育てよう 親には子どもの感情を育てる義務がある
という本です。

今まで大量の子育て本を読んできた私ですが、自分の中では上位3冊に入るほど良い内容でした。

義務という文字が気になるかもしれませんが、全然厳しい話ではなく…
むしろ、親にも優しい本だと私は感じました。

以下に感想を少し綴ってみます。


子どもとは本来どんな存在か?

最初に「その通りだ…!」と感心したのが、この文章です。

私たちの子育てにおける大きな誤解の一つは、大人になってから思いやりのある人に育つためには、生まれたときから子ども時代ずっと、思いやりのある子どもでいることが必要だと思い込んでいるところです。

まず、最初に子どもを育てるにあたってしなければいけない覚悟は、子どもというものは、足りないとこらがあるのが当たり前で、親に苦労をかけるものなのだということなのです。

衝撃でした。
本当に同意ですが、私たち親がつい忘れがちなことだと思います。

子どもはまだ大人と違って発育途中の成長段階にあり、今の時点で完成形である必要は全く無いのです。

大人顔負けの物言いをしていても、大人が解くのも大変な問題を解けていたとしても
「子どもはまだ子どもなのだ」
という認識を常に忘れずにいたい…と思いました。


今からでも遅くない?

いまさらでいいのです。いまから、変えてみればいいのです。子どもが教えてくれているのですからね。最初から完璧に育てられるなんてことはないのです。親にだって、完璧なよい親を求めてはいけません。子どもが教えてくれて、そして一緒に育っていくのが親子です。子どもから学べばよいのです。

この文章には、大いに励まされます。私も毎日のように子どもから色々教わっていますから。

子どもへの接し方がマズイ理由は、核家族化によって周りに幼子がいない状況で育った若者・親が増えているせいもあるかもしれませんね。

「この本を上の子が生まれる前に読めていたら」
とも正直思いますが、今からでも決して遅くはないはずです。

子どもと接する時、常に頭の片隅に置いておきたいです。


『らくだの涙』に見る、優しい見守り

モンゴルのドキュメンタリー映画『らくだの涙』取り上げた部分も、ひどく印象的でした。

子育てしないらくだに、音楽を奏でるという文化の優しさ。なぜ子育てしないのかと原因を追求することもなく、母らくだの非をあげつらうのでもなく、きっとあるであろう見えない傷つきに優しい目を向けて、心やすらかになることを見守るそういう社会が、親子を救うのでしょう。

なんだか泣けてきます…

現代日本では、子どもに何かあると親のせいにされてしまいます。
成人後でも犯罪者の親にインタビューするメディア、それを見る人たちの視線も、とても厳しいと感じます。
子育てに疲れて愚痴を言う親・虐待した親を批判する論調もSNSでよく見かけます。

でも本来、必要なのは助け合いや慰めなのではないでしょうか?

親だって神ではなく人間なのだから、完璧にはできません。足りない部分は多かれ少なかれ誰にでもあります。

私自身も親の責任がものすごく重く感じられ、時々押し潰されそうになります。

誰がどんな風に見守ればよいのかまでは分かりませんが、少なくとも誰かを責めれば解決する問題ではないと思います。


「受容」の誤解とは

また「受容」という言葉への誤解も、心に残りました。

「受容する」というのは、大変に厳しいものなのです。苦しみを受容するということは、「苦しみを苦しめるようにする」というある意味、残酷な側面を伴う仕事です。無痛化されていく社会の中で、私たちはますます苦しみを苦しめなくなり、悲しみを悲しめなくなっています。苦しみを見つめ、苦しみを苦しむことに寄り添おうとするとき、そこにはじめて受容が生まれます。

最近私たちは「受容」「トラウマ」「自己肯定感」などという難しげな心理学的単語をよく使いがちですが、実は間違えた使い方や適当な物言いも多く目にします。

「無条件に受容する」とは「単に子どもの言ってること全部を肯定する」「何でも許容して、いいよと言うということ」ではないそうです。

ネガティブな感情から目をそらさず見ようとする、真正面から自分や子どもと向き合う…そう言った行為も必要になるのではないでしょうか。


まとめ

言うは易し。
こんなことを言っていても、全部理想的な行動ができている訳ではありません。日々反省することも多いです。

でも、私も子どもと一緒に育っていけばいい。
頑張りすぎず、構えすぎないで、子どものありのままの感情に寄り添って生きられたらと思います。


上記に引用した内容以外にも、

・世代を超えた子育ての苦しみの連鎖
・できないこと、失敗することへの不安の強さ
・「ちゃんと泣ける子」と言う「よい子」を求めてしまわないために

など、興味深い内容ばかり。

学校と家庭での様子が大きく違う場合・いじめる場合・自傷する場合…様々なケースも取り上げています。



以下のような方には特におすすめできます。

・子育ての悩みが多い方
・イヤイヤ期にウンザリしている方
・反抗期で困っている方
・子どもについイライラしてしまう方
・学校の先生
・教育関係の仕事に就こうとする方


気になったら是非読んでみて下さいね。


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