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子どもが話す 「ウソ?」「ホント?」の真実

「親なんだから」とか「毎日一緒にいるんだから」とか、何か理由をつけて子どものウソとホントを見抜けているつもりになっていませんか?

実は、それ、当てにしない方がよいのかもしれません。

子どもはいつから嘘をつくの?

Law and Human Behavior(法と人間の行動)というアメリカ心理学会の研究
ジャーナルの記事の内容をお伝えします。これまで子どもがどれだけ他人に嘘をついて、その嘘がどれだけ見抜かれているかの研究は少なく、その実態が明らかになっていませんでした。しかし、研究では、すでに3歳で真実を隠すための能力があると結論づけています。

大人は、子どもの嘘をどれくらい見抜けるの?

約8000 人の大人と約 2000 人の子どもを対象に、45 種類の多岐に わたる実験を行いメタ分析しました。その結果、子どもの嘘を嘘として見抜けた大人の割合は 47.5%でした。これは、偶然の一致(嘘か本当の二択の選択肢の50%)と相違ない結果です。子どもが言っている本当のことを本当であると見抜けた大人の割合は少し高く63.8% です。これらの結果を総合して、嘘か本当かに関わらず、真実を見抜けている大人の割合は 54% でした。教師や警察、ソーシャルワーカーなどの専門的職業に就いている大人は、少しだけその割合が高いということも示されていますが、 それ以外の職業の大人と比べて、統計的に相違ない割合であるとのことです。

さらには、子どもが3歳であろうが小学生であろうが中学生であろうが、真実を見抜かれる年齢に差異は見られないことが示されました。年が上の子どもの方が、上手な嘘をつきそうですが、3歳でも中学生の子どもでも、嘘を嘘であると、大人が見抜ける割合が変わらないのは驚きです。

嘘の追求に意味はない…

私は長いこと子どもと関わる仕事をしてきましたが、子どもが「保護者の前」「先生の前」「友だちの前」でコロコロ言っていることが変わってしまい、正直、「困ったな」と思うことが多くありました。そんなときは、真実を追及することより、子ども自身が気持ちを消化できるようにすることに努めるようにしています。

子どもが頭の中で考えていることは、一つの小宇宙です。それを追及することはできません。「うちの子は嘘をつくような子じゃない」とか「子どもの嘘は見抜けるし、小学生のような小さな子どもの嘘なんかなおさらだ」と思いがちかもしれませんが、実際はそれはただの思い違いなのです。

親として大切なのはケアリング

社会では、特に人間関係に不確実なことが多くあります。不確実なことを子どもに追及し真実を求めることよりも、心のケアに努め、気持ちを消化させてあげることの方が、大切であると思います。

【出典】Detecting deception in children: A meta-analysis.Gongola, J., Scurich, N., & Quas, J. A. (2017).Detecting deception in children: A metaanalysis.
Law and Human Behavior, 41(1), 44-54.

https://psycnet.apa.org/record/2016-46793-001

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