男を振るときは容赦がない
※この小説は2016年に連載を開始したものであり、当時の世相を反映し、絶妙にダサく古臭いと思われるものも散見されます。
それに輪をかけて、百鳥ユウカは痛い女ですので、精読に耐えないものがあるかもしれません。
しかしながら、編集部および著者の見解として、当時の貴重な文化遺産的な
側面を評価し、連載当時のまま掲載いたします。
昼間は丸の内で働くユウカだが、住まいは東東京(ひがしとうきょう)の下町にあった。下町風情なんて感じられないくらいに都会化しているが、5分も歩けば江戸時代からあった商店街があり、大きく有名な川が流れている。
最寄りの駅までの距離は歩いて5分程度だ。ユウカの足取りは重かった。駅の隣には、大輔が待っているコンビニがある。
小雨の中、桜井(ハゲ)からもらった3本のワインを掲げて歩くのは、女の足にはしんどい。
「はぁ……、コレは大輔に見せるわけにはいかないな」
ユウカは赤・白・ロゼの3本のワインを、ひとまず自宅マンションの宅配ボックスに置いて身軽になった。そして、よく考えたら自分がスウェット姿であることを思い出す。
さっき、桜井を迎えるのに勢いよく飛び出しすぎたからだ。
「あー、もう、めんどくさい」
ユウカは、自分が大輔を呼び出したという事実をすっかり忘れているようだ。
スウェットだから、なるべく人通りが少ない道を選んで駅前に向かう。幸い小雨も一旦止んでいた。
(みんな、相手を断る時って、どうしてんだろう?)
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