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不倫の現場で語る結婚の不都合な真実

ユウカは竜平の家に厄介になってから2週間が過ぎようとしていた。

時折、アキから買い物や雑用を頼まれる以外は、ユウカは時間を持て余している。

脳みそが焼けるような日々は遠い過去のように感じ、そして、アキと出会ったボランティア村での生活も記憶の端に追いやられていた。

過去にとらわれずに、未来のことを考えようと思えたのも、ユウカにとって竜平の家は穏やかな時間が流れていたからだ。


「あたし、この先どうなるのかしら…? アキさんはこのままこの家にいればいいって言うけど。このまま年老いていって、誰にも相手にされなくなって…やだやだ!」


 いくら生活が保障されようとも、女性が持っている漠然とした不安は消えない。それは、老いに対する不安だからだ。老いは女性からあらゆるものを奪う。美貌、男性からの視線、いつまでもチヤホヤされたいという願望……、自分が醜く衰えたら誰にも相手にされなくなるかもしれない、と妄想をしたことのない女性は多分いない。

 でも、深く考えることが苦手なユウカは、考えても答えが出ない問題は考えないようにしていた。

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