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#2『この星の光の地図を写す』石川直樹

石川直樹さんを知ったのは、私が大学生の時だ。
それは、わたしがはじめて写真展に自発的に行った日から、大学の大講堂のある階段にたくさん置いてあるDMをよく見るようになった頃のことだった。

「ここより北へ」という奈良美智さんとの合同展示がワタリウム美術館で開かれていたのを知った私は、ふらりと立ち寄ってみることにした。

▽当時のDM

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2014年の夏に、二人が青森から北へと歩いた旅の記録、写真、道具などが展示されていたこの企画展は、二人が撮った写真や、日記、リュックサック、本やレコードなどの身のまわりの日常品、シカの剥製、カメラや絵の具、幼い頃のアルバムも並んでいた。彼らはやがてサハリンに辿り着き、そこに住む人々を見つめていく。

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二人が旅をした軌跡を辿るようなこの展示は、当時の私にはとても不思議で、いつまでも見ていたくなるような感覚を覚えた。

▽「ここより北へ」ワタリウム美術館公式サイト
http://www.watarium.co.jp/exhibition/1501ishikawa_nara/index.html

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そんな展示を見てから、私は時たま石川直樹さんの軌跡を追いかけるようになっていった。どこか近くで展示があれば、そっと足を運んでは、石川さんの撮るエベレストや世界に足を踏み入れ見つめていった。

石川さんの写真には、自然も人もそこに在るものだと気づかされることが多い。純粋に真っすぐに、地球というものを見つめる彼のまなざしには、ハッとさせられる。

それから何年か経った2019年のはじめ頃、石川さんが
「この星の光の地図を写す」という東京での初の大規模個展写真展を開くことを知った。

まるで世界を一歩一歩足を踏みしめて旅をしているような感覚に陥るような写真展だった。世界のつながりを感じた。
文化人類学をベースに石川さんの思考が溶け込んでいたように感じる。
会場を出た後「また見たい」とすぐに思い立ったのを覚えている。

彼が実際に使用したものと同じテントの中で、映像が流れる演出や、
展示作品に合わせたそれぞれの光や壁の色味には、思わず引き込まれてしまった。今思い出すだけで、またあの場所に行きたいなと思ってしまう。
そんな写真展だった。

▽『この星の光の地図を写す』石川直樹
https://www.operacity.jp/ag/exh217/

(写真は撮影OKな箇所です)

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石川直樹(Naoki ISHIKAWA)
1977年東京生まれ。写真家。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。人類学、民俗学などの領域に関心を持ち、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら、作品を発表し続けている。2008年『NEW DIMENSION』(赤々舎)、『POLAR』(リトルモア)により日本写真協会賞新人賞、講談社出版文化賞。2011年『CORONA』(青土社)により土門拳賞を受賞。2020年日本写真協会賞作家賞受賞。著書に、開高健ノンフィクション賞を受賞した『最後の冒険家』(集英社)ほか多数。最新刊に、ヒマラヤの8000m峰に焦点をあてた写真集シリーズの7冊目となる『Gasherbrum II』(SLANT)、『まれびと』(小学館)、『EVEREST』(CCCメディアハウス)など。
http://www.straightree.com/profile/index.html




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