短編:【昨日と同じ年末と、今日と違う新年】
幼い頃。実家ではコタツが出ていて、新年用のおせち料理を作る煮物の薫りが立ち込めていた年末。大掃除をして片付けを終えると、すぐに新年の用意をして、その新年のために使ったたくさんの食器や飾りなどを片付けてと、当たり前のように、またはそれが誰もが行う行事のように行われていた。
会社員となって、年末が来ると忘年会があった。会議室に集まって、関係各社から届いたお歳暮の缶ビールと、近所のスーパーで購入して来た乾き物、あるいはデリバリーのピザを数枚並べて、みんな笑顔で、真っ赤な顔をしてい