短編:【しょうもない嘘】
人は時として「しょうもない嘘」をつく。
「ごめんなさい…電車が遅延しちゃってて…」
彼女は小走りで駅ロータリーの待ち合わせ場所にやって来た。
「あ、大丈夫です。僕もさっき時間通りに着いたので、待たせてしまったんじゃないかと心配していたので…」
「しょうがない嘘」が罪のない切羽詰まった仕方ないものだとするならば、「しょうもない嘘」はそれ以前のどうでもよいくだらない嘘。犯罪に加担するような大それたものまで、嘘のランクも様々あれど所詮、嘘は嘘。それによってすべてを手にすることも