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★【作者と読者のお気に入り】★

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◉たくさんのビューとスキを頂いた作品と、個人的に好きなモノだけをギュッとまとめてお届け!30作品程度で入れ替えしながらご紹介。皆様のスキが集まりますように(笑)お気に入りの玉手箱!
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2022年12月の記事一覧

短編:【木の上の猫】

昨夜の雨も上がり、久々に日向であれば薄手のコートでも充分暖かく感じる、ある冬の昼下がり。たまたま入ったお店の、本日のランチが大正解で、満腹感プラスアルファーの満足感の中、公園の木々の間を歩いていた。 「あの~、あの、すいません…」 どこからともなく、中年男性の声がする。 自分の右手の方から聞こえた気もするし、後方からの気もする。 気のせいか?誰もいない。 「ちょっと、そこの旦那さん…」 やっぱり聞こえる。周りには人影はない。気味が悪い。それに私はまだまだヤングで、旦那と呼ば

【音が鳴るモノなりけり】

<登場人物> 卓也:多感な年頃の小学校低学年生 卓也の母:子供の成長を楽しむ主婦 卓也の父:人生に失敗し、空回りする男 上村:反社組織に片足を突っ込む半端者 その他:卓也父の浮気相手、警察官、学校の皆さん、謎の外国人… 01_1・夕方。職質を受ける男性(上村)と、それを囲む2人の警察官。   警察官A:「もう一度伺いますが…これ…なんですか?」   上村:「えっと…何ですかね…」   警察官B:「これは、アナタのモノではないんですか?」   上村:「えっと…私のですね…」

【カレーの日】

街角で思いっきり殴られた夜、無性にカレーの気分になっていた。23時を少し回っていたが、24時間営業のチェーン店ならやっているだろう。 とはいえ、思いっきり殴られたせいで、右目の上は大きく腫れていて、左頬には紫のアザがくっきり出ている。見た目ではわからないが、口の中も切れているようで、微かに鉄分の味がする。 「こんな姿で、また街を歩くのは…」 …流石に気が引けた。一旦、シャワーを浴びて、血の飛び散った洋服を着替えてから考えることにしよう。 なぜ殴られたのか。 …ただ歩いていた