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【旅エッセイ】フィレンツェのとある食堂にて

大学院の卒業旅行で、トルコ→クロアチア→イタリアを旅したときのあるご飯の話。

わたしは基本的に1泊20ユーロ以下のゲストハウスに宿泊していた。Booking.comでレビューの高いところを選んでいたので、安くても大概ちゃんと綺麗ではあったのだが、安さの代わりに、街の真ん中にあるとは限らなかった。

フィレンツェを訪れた際も、街の周縁にあるゲストハウスに宿泊した。日本人の友人とベネツィアで合流してから鉄道でフィレンツェに移動したのだった。

フィレンツェの駅はなかなか巨大だった。ヨーロッパの観光地の駅、という感じで、改札は特になく、駅の外から電車のホームまで直結している。フィレンツエはまあまあ大きく、新幹線のホームが10くらいはあった気がする。改札がないので、きっぷを正しく買えなくても電車には乗れてしまうというなかなかなシステムである。ちなみに、10カ国以上訪れているが、特急電車の指定席か自由席かはいつもよくわからない。

夕方に駅について、とりあえず荷物を置きたくてゲストハウスをを目指した。15分ほど街を歩いて、ふたりともお腹が空いていたのでご飯屋さんの目星をつけながら夕方のフィレンツェの街を歩く。

どうやら宿泊所の周りにはあまりごはんどころはなさそうだった。街に向かう途中に数件あるだけだ。だが、経験上、観光地のど真ん中のレストランはあまりよろしくないことも知っているので、その数件できめようかということになった。

街の食堂といった風情のピザ屋がぽつんとあり、中を除くと奥にピザ窯が見えた。恰幅のいいおっちゃんが一人でピザ生地をこねている。内装も黄色を基調とした高級過ぎない感じ。下がタイル張りなのが掃除のしやすさをとった感じで心地いい。私達はその店がなんとなく気に入って、(価格も気に入って)入ることにした。

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メニューはピザとワインと少しのおつまみのみ。潔い!
英語のメニューがちゃんとあって、それは町外れとはいえ観光地の良いところ。適当にピザを2枚とワインのボトルを一本頼む。

ここで頼んだ赤ワインを私は忘れられない。メニュー上で頼みたかったワインが品切れということだったが、おっちゃんに「その代わりいいワイン入ってるよ!トスカーナワインで、これの代わりならそれだね」とおすすめされたものだった。食堂とレストランの間くらいのランクなのか、おっちゃんが日本人にちゃんと接客しようとしてくれたのかわからないが、わざわざテイスティングをさせてくれた。

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一口飲んで、私が好きなミドルボディの感じ、華やかな香りだが味もしっかりしていて、とても美味しかった。頼んだピザにもよく合った。私たちはおいしいおいしいと言いながらバクバク食べて、ワインをかっくらったのだった。

ちなみにピザは、クレソンと生ハムのピザと、王道マルゲリータを頼んだ。

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どちらも、こんなんまずいわけもないのだが、お店の雰囲気ともよく調和してなんだか格別に美味しかった記憶。

その店はおっちゃんがワンオペで回していた。ピザを焼き、私達の接客をし、テイクアウトの対応もおっちゃんが一人で回していた。職人という感じで、とてもかっこよかった。
私達が入ったあとも、地元の人なのか注文してあったピザを取りに来る人が何人もいた。やはり旅先では探す難易度はあれど、地元に愛される店を訪れたい。

しかしイタリアには至るところにイタリア料理店がある。日本の和食店より多い気もしたくらいだ。というか他のオプションが少ない。どの店もイタリア料理を選べば美味しいのは確かなのだが、チーズとトマトに飽きたときに他の選択肢があまりなくてこまった記憶も少々。1週間以上イタリアに行くという人は、カップラーメンくらい持参しても良いかもしれない。


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